本連載ではこれまで、商品ページの改善やメールマガジンを通したコミュニケーション方法のように、ECサイトの広範な顧客にアプローチする施策について触れてきた。ECサイトの運営者にとって、重視すべき施策はまだある。今回は商品に同封する「同梱物」を取り上げたい。同梱物は実際に購入した顧客にほぼ確実に届くコミュニケーション手段として捉えるべきだ。リピート購入を促すうえで、決して侮れない効果がある。

商品の同梱物はリピート購入を促す重要な施策だ(写真/Shutterstock)
商品の同梱物はリピート購入を促す重要な施策だ(写真/Shutterstock)

 ECサイトの商品ページ改善から始まる“接客”の質向上や、メールやSNSなどでのコミュニケーションといったデジタル上で行われる施策とは大きく異なり、同梱物は購買後という限られた顧客とリアルにつながることができるコミュニケーションツールだ。

 最大の特徴は、「商品購入後の顧客の目に触れる可能性が極めて高い」という点にある。メルマガで例えるなら、開封率は100%の施策ということになる。その接点を生かし、同梱物を活用して購買体験を高められれば、顧客の満足度の向上につながる。そうした体験の積み重ねが、商品やサービス、ECサイトや運営元への信頼につながり、継続的な購入が期待できる。同梱物はリピート購入を促す、非常に重要な接点である。

 この同梱物の成果を高めるうえで、取り組むべき内容として、「お礼状」「商品紹介」「商品関連コンテンツ」「レビューの紹介」「サンプル提供」の5つが主に挙げられる。

効果的な同梱物に5つの王道手段

 まず、お礼状だが、要素としては、「購入者の氏名」「お礼/企業案内」「ブランドロゴ」「店舗への連絡先/フォロー」「レビュー投稿の案内」などを記入する、キャンペーン案内やブランドを訴求する内容などを追加してみるのもいいだろう。

「お礼状」は単なる挨拶ではなく、レビュー投稿の案内など、複合的に情報を伝えることが重要だ
「お礼状」は単なる挨拶ではなく、レビュー投稿の案内など、複合的に情報を伝えることが重要だ

 次回の購入につなげるためには、店舗のお勧め商品や、購入した商品の関連商品、セット品、定期商品の案内などを、商品ページのリンクと共に紹介するのも有効だ。すぐに手元のスマートフォンなどから商品ページにアクセスできるように「QRコード」を合わせて掲載するなど、購入へのアクセスを円滑にする工夫も重要になる。その際、QRコードの誘導先のURLに計測用のパラメーターを付与しておくと、どのQRコードから集客できたかがアクセス解析ソフトなどで分析できるようになるため、効果計測をしやすくなる。

購入商品と関連した「商品紹介」もリピート購入を促すうえで重要だ。商品ページのQRコードを合わせて掲載するなどして、購入へのアクセスを円滑にするなど工夫しよう
購入商品と関連した「商品紹介」もリピート購入を促すうえで重要だ。商品ページのQRコードを合わせて掲載するなどして、購入へのアクセスを円滑にするなど工夫しよう

 商品の魅力を最大限に伝えるうえでは、商品関連コンテンツを冊子などの読み物にして、同梱するのがお勧めだ。例えば、食品であれば商品を使ったレシピ集を同梱する。化粧品や健康食品であれば成分の特徴、正しい使い方など、商品の機能を引き出すハウツー情報を同梱するといった具合だ。イラストや漫画などで、雑誌のようなコンテンツで伝えることで、店舗や商品のファンづくりやリピーター育成につなげるきっかけになる。内容が充実していれば、繰り返し目を通してもらえることも期待できる。

商品の使い方などのハウツーや商品を長く使うための手入れ方法など、商品の魅力や機能を最大限に引き出すための情報を伝える「読み物」は、商品価値を実感してもらうための重要な施策だ
商品の使い方などのハウツーや商品を長く使うための手入れ方法など、商品の魅力や機能を最大限に引き出すための情報を伝える「読み物」は、商品価値を実感してもらうための重要な施策だ

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