ECサイトを運営していると、同じような商品を扱っているのに、自社より競合他社の方がユーザーに支持されているような気がすると感じることがある。運営者としてはその理由が知りたくなるものだが、そんなときにぜひ試してほしいのが、「競合他社と自社とのレビュー分析や競合調査」だ。今回はこのレビュー分析を無料でできるツールを使いながら、分析方法とマーケティング施策立案への生かし方を解説する。

(写真/Shutterstock)
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 レビューとは、商品の購入者やサービスの利用者が投稿する評価を指す。大手ECサイト「Amazon.co.jp」の商品ページに、5段階評価で投稿されている商品評価はよく知られたレビューの1種だ。それを踏まえて、なぜレビュー分析が重要なのかを改めて考えていこう。

 カスタマーレビューは、商品やサービスに対する顧客の本音や感想を知ることができる、重要な要素だ。自社に寄せられた多数のレビューを分析することは、「どのような属性の顧客が」「どのような価値や不満を感じていて」「どのような要望や意見があるのか」といった、購入者だからこそ分かるサービスの改善点や要望、価値などを把握する機会になる。これらを参考にすれば、購入者目線を取り入れ、より良い商品やサービスを提供することにつながるはずだ。

 ただ、実際には、寄せられたレビューすべてに目を通し、そこからインサイトを得るのは簡単ではない。そんなときに活用したいのが、「テキストマイニングツール」だ。レビューなどの大量の文章を、名詞や動詞、形容詞などの単語に機械的に分割し、出現頻度や単語同士の相関関係を明らかにすることができる機能を持つ。

無料で利用可能なテキストマイニングツールも

 テキストマイニングツールは多数存在するが、今回は無料で利用可能なユーザーローカルのテキストマイニングツール「AIテキストマイニング by ユーザーローカル 関連リンク:サービスのWebサイト 」を用いて、具体的な分析方法を解説していこう。

 このツールを使うことで、顧客が書き込んだレビューを機械的に解析して、頻出する単語群や文中の単語の登場頻度を確認できる。もちろん、複数の顧客から寄せられたレビューを同時に解析し、比較することも可能だ。

 では、実際にどのような情報が得られ、どう改善につなげられるのかを詳しく解説していこう。

 テキストマイニングツールでレビューを分析すると、「ワードクラウド」と呼ばれる単語群に分類される。ワードクラウドとは、文中の単語の出現頻度や、特定のワードと同時に頻出する「共起語」を単語単位で抽出し、それらの出現割合の高さに応じて文字の大きさを変えたり、名詞や動詞などの種類で色を変えたりして表示されるものだ。

 イメージしやすいように、仮想のコーヒー豆専門店に寄せられたコーヒーメーカーに関する2つのレビューをテキストマイニングツールを用いてワードクラウド化したのが下図となる。文字の大きさだけでなく、名詞は青、動詞は赤、形容詞は緑、感動詞はグレーと色分けされている。星が4つ以上の評価では「(コーヒー豆を)挽く」「気に入る」といった動詞の他、「美味しい」といった形容詞が目立つ。

 一方、星が3つ以下の評価では「詰まりやすい」「入れにくい」といった課題点が目に留まりやすい。このように、何に注目して書かれたレビューかが直感的に把握できるだろう。

テキストマイニングツールを活用してレビュー分析すると、「ワードクラウド」と呼ばれる単語群に分類される
テキストマイニングツールを活用してレビュー分析すると、「ワードクラウド」と呼ばれる単語群に分類される

 一方、単語分類は、以下のように星4つのレビューと星3つのレビューで頻出する単語をグループ化して見られるのが特徴だ。グループ分けされているので、どちらかに偏って出現している単語がないかを比較しながら、把握しやすい。

単語分類では、高評価と低評価でそれぞれ頻出するキーワードを一元化して、強みと弱みの発見に役立てられる
単語分類では、高評価と低評価でそれぞれ頻出するキーワードを一元化して、強みと弱みの発見に役立てられる

 では、上述で得られた情報から改善案を検討する際には、どう優先順位立てをすればよいのだろうか。例えば、星4つ以上の高評価レビューを見てみると、「挽く」「豆」「コーヒー」の他に、「コンパクト」「デザイン」「サイズ」など、外見に関する単語が目立つ。ここから、「星4つ以上の高評価を付ける顧客は、コンパクトで使いやすく、かつデザイン性があることを評価している」と仮説立てできる。

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