連載第5回では、ECサイトにおいて「なぜ商品ページが重要なのか」という根本的な問いへの答えと、商品ページ作成の下準備となるペルソナの設定やカスタマージャーニーの描き方を解説した。その内容を踏まえ、今回は「商品ページの作成」について、電通グループ独自の売れるページづくりのフレームワーク「ACREA(エクレア)理論」に基づき解説する。

(写真/Shutterstock)
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 売れるECサイトの運営には、消費者心理に意識を向けることが欠かせない。特にサイト訪問者のうち購入商品の条件がある程度決まっている「顕在層」や、具体的な商品をイメージして比較しながら探している「検討層」といった、「購入意欲の高いユーザー」にサイト上のコンテンツで適切に働きかけられれば、より購入につながりやすくなる。

 商品ページの役割は、適切なコンテンツを用意して購入に結び付けること。それは“商品を手に取った来店客”に適切に接客して、購入に結び付ける店舗接客と同義だ。チャットなどが普及しつつあるとはいえ、ECサイトでは店舗接客のような双方向のコミュニケーションを取りながら、顧客の疑問点などを解消していくことは難しい。そのため、サイト来訪者が感じる不安や不満、疑問を解消し、「欲しい」と思ってもらえるように商品ページのコンテンツを整えることで、CVR(コンバージョン率)の向上が期待できる。

商品ページを構成する鉄板3大要素

 では、実際、どのような手順で商品ページを制作すべきだろうか。まず、どのような商品ページでも、「キャッチ」「ボディ」「クロージング」という3大要素で構成するのが鉄則だ。

 キャッチは、消費者に興味を持ってもらいボディ要素へと読み進んでもらうための導入部分に当たる。例えば、「○○ランキング1位獲得!」や「累計販売個数○○個」といったキャッチコピーはユーザーの気持ちを引き付ける役割を十分に果たしてくれるだろう。ただし、そのような情報を載せる場合には信頼を損ねないためにも、実態に即した客観的なデータに基づく必要がある。

 続いて、ボディは消費者の悩みや課題を解決し、商品を欲しいと思ってもらうための接客の役割を果たす部分だ。「効果や効能に関する実証結果」や「競合優位性」を伝えることで後述するベネフィットを提案したり、送料の明示など、購入にまつわる不満や不安を払拭したりするといったアプローチが考えられる。

 最後の「クロージング」は購入手前にいる来店者の背中を押す役割だ。例えば、「今なら特典が付く」「購入者限定で特別なクーポンを配布中」など、今買う理由付けが有効に働く。

商品ページは「キャッチ」「ボディ」「クロージング」の3大要素で構成することが一般的だ
商品ページは「キャッチ」「ボディ」「クロージング」の3大要素で構成することが一般的だ

 このような段階的に興味を喚起し、欲しい気持ちをくすぐり、買いたいと思わせるように情報設計をしていくことがポイントだ。紙などに商品ページの構成を書き出し、各要素で伝えたい情報を箇条書きにするなどして、内容を膨らませていくことで、全体的に統一感のある内容を目指そう。

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