九州に本拠を置くディスカウントストアのトライアルカンパニー(福岡市)が主導し、サントリー酒類や日本ハムなど計6社で2019年11月に結成した「リテールAIプラットフォームプロジェクト『リアイル』」。スマートストアでのAI(人工知能)活用とデータ分析を推し進める参加企業が、パーソナライズを意識しながらどんなデータ活用に取り組んでいるのか、その実態を追った。

トライアルグループが開発したスマートショッピングカート。重量センサーを装備した新バージョン
トライアルグループが開発したスマートショッピングカート。重量センサーを装備した新バージョン
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 リアイルではこれまで、プロジェクトの旗艦店としてトライアルカンパニーが2020年7月に開業した「スーパーセンタートライアル長沼店(以下、トライアル長沼店)」を軸に、トライアルが開発したAIカメラやタブレット搭載の「スマートショッピングカート」、店内に設置した大型デジタルサイネージなどを備えたトライアルグループ内外のスマートストアで、参加企業がさまざまなマーケティングの取り組みを展開してきた。

前回(第1回)はこちら

【特集】データ活用最前線 進むパーソナライズ
【第1回】 一休、売り上げ12%増に秘策 “2軸レコメンド”の威力とは?
【第2回】 レコメンドの好機は? サントリー、トライアルがたどり着いた解 ←今回はココ

 データを活用した最も分かりやすいマーケティングの例は、こんな具合だ。ユーザーは、スマートショッピングカートを利用する際、カートに積んだタブレットに会員カードを読み込ませる。そうして得られたユーザーの過去の購買履歴などを分析し、店側はタブレットに当該ユーザーが買いそうな商品を、その商品に適用される割引クーポンなどを提示する形でレコメンドして、購買につなげるわけだ。

カートに搭載されたタブレットで、30ポイント付与の特典付きでレコメンドされた商品(「シャウエッセン」)を購入した
カートに搭載されたタブレットで、30ポイント付与の特典付きでレコメンドされた商品(「シャウエッセン」)を購入した
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商品にひも付けたり、ユーザーをまとめたりしてレコメンド

 参加各社がまず取り組んでいるのが、商品にひも付けたレコメンドや、ある条件でまとめたユーザーに対するレコメンドで、確実に売り上げ増を図ることだ。

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