
スーパー各社がネットスーパー事業の拡大、新規参入を急いでいる。そんな中、システム構築に加え、商品のピッキング、配送という“3大参入障壁”をクリアするモデルで切り込むのが、ダブルフロンティア(東京・千代田)だ。同社は買い物代行サービス「twidy(ツイディ)」を展開、2025年までにスーパー500店との連携を目指す。その戦略とは?
買い物代行サービス「twidy(ツイディ)」は現在、食品スーパーのライフ 渋谷東店、サミットストア 三田店・深沢坂上店、ホームセンターの島忠 中野店などと連携し、都内を中心に展開している。各対象店舗からおよそ半径2キロメートル圏内が配送エリアで、小商圏の地域密着型サービスだ。緊急事態宣言の発令も手伝って、ツイディ経由の21年1月の売り上げは前年同月比で3倍以上に拡大している。
ツイディで特徴的なのが、商品のピッキングや配送を担う「クルー」の存在。空き時間を活用したい地元の主婦や、新聞販売店の配達員、電力会社の検針員といった地元企業のスタッフが担当する。ツイディユーザーの代わりに店舗を訪れ、注文商品をピックアップ、最短1時間で希望の時間に自宅まで届ける。
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都市部の店舗ではピッキングと配送担当をそれぞれ配置することが多いが、地方では1人2役が標準。スーパー側が自前でピッキングを行って配送だけ委託してもいい。いずれにしろ連携するスーパーにとっては負荷が高い業務をアウトソーシングできる。その費用感は、「地方モデルでは1店当たり200人程度のアクティブユーザーが集まれば、安売り主体のスーパーでない限り黒字化が見えてくる水準」(ダブルフロンティアの八木橋裕社長)という。
「ネットスーパーの課題」をどう解決?
このモデルの大枠は、海外で先例がある。買い物代行サービス大手の米インスタカートだ。ただし、インスタカートは大量に募ったギグワーカーとユーザーをマッチングさせる仕組みだが、ツイディのクルーは少数精鋭。個々が担当する店舗を1店に限定し、かつ研修に多くの時間を割くことで、「ユーザー200人に対して、基本的にクルー1人で注文をさばけるようになる」(八木橋氏)。ピッキングの精度は生鮮品を中心としたリピート注文の獲得、あるいはクレームに直結する。むやみやたらと人を集めるより、賞味期限ができるだけ長いもの、鮮度がいいものなど柔軟に目利きができる熟練したクルーを配置したほうがいいという判断だ。土地勘のあるクルーが狭いエリアを担当するため、配送の効率も上がる。
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