
ネットスーパーやECが拡大する中、ドラッグストアやコンビニ、マンションなどに設置された共同の“宅配ボックス”に商品を届ける新機軸の生鮮食品ECが成長を遂げている。レシピサービス最大手のクックパッドが提供する「クックパッドマート」だ。店舗ではなく、個別宅への配送でもない“第3の買い方”ともいえるサービスとは。
コロナ禍による外出自粛や、短時間・非接触で買い物を済ませたいというニーズに応えてECは拡大中だ。生鮮食品領域では、大手ネットスーパーが攻勢をかけ、サービス競争が激化。また、飲食店の休業で行き場のなくなった業務用食材などの受け皿として産直ECも注目を集めた。
そんな中、急成長をしているのが、クックパッドが手掛ける生鮮食品EC「クックパッドマート」だ。精肉店や鮮魚店、ベーカリーなどの地域有力店の商品や農家直送の食材をアプリで購入できるサービス。東京都と神奈川県で展開し、2020年の1年間で利用者数が10倍以上に増加している。まさに破竹の勢いで、ネットスーパーの対抗軸に育ちつつある。
斬新なのが、受取場所が自宅ではないこと。アプリで注文した商品は、各地に設置された「マートステーション」に配送される。マートステーションはコンビニやドラッグストア、街の個店、マンションなどに設置され、自由に選ぶことが可能。ユーザーは、注文時に指定したマートステーションに行き、スマホのQRコードをかざして商品を受け取るだけでいい。商品が自宅などに届くのを待つのではなく、都合のよい時間に取りに行けばいいため、時間に縛られない。「朝にその日の夕食のメニューを決めて注文しても間に合うようにサービスを設計している」(クックパッド買物事業本部本部長の水上真介氏)というように、朝8時までの注文で当日配達に対応するのも人気の理由だ。
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なぜ、「1品から無料配送」が可能なのか
特徴的なのは、1品から注文ができ、送料も無料な点だ。
通常、ネットスーパーは1回当たりの送料が300円前後かかるか、数千円程度の購入を条件に無料とするケースが多い。また、最低注文金額が定められている場合もある。対して、クックパッドマートは、独自の配送網を構築し、この壁を打破した。
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