
SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業は大手だけではない。中堅・中小企業からも率先して手掛ける例が増えている。その代表例が明治元年(1868年)に創業し、現在はタオルなどを製造・販売するホットマン(東京都青梅市)だ。2014年に国内で初めて「国際フェアトレード認証」を取得したタオルを商品化。環境に優しい商品などを扱うECサイト「EARTH MALL with Rakuten」などでも同社のタオルは注目されている。
国際フェアトレードとは、開発途上国の小規模な生産者を支援するビジネス形態といえる。国際的な貿易のなかで不当なコスト削減を求められるなど、不利な立場にある開発途上国の生産者が、公正な取引を受けられるようにすることが狙い。開発途上国の生産者は、適正な対価を得ることで、自分たちが置かれた状況を改善できるようになる。
具体的には、開発途上国の生産者から商品の原料などを適正な価格で継続的に購入。持続可能な取引のサイクルをつくり、生産者の生活や環境を守る。それが感染症のまん延、紛争の勃発など、さまざまな課題の抑止にもつながる。
国際フェアトレードの趣旨に賛同したホットマンは、同認証を取得。同じ考え方を持つ第一紡績(熊本県荒尾市)と協力しながら進めている。アフリカのセネガルなどのコットンから紡績会社が糸を作り、それをホットマンの工場で織り上げてタオルにしている。
ホットマンの年間売上高は30億円規模で、全国に71店舗を構える。18年にはSDGsに関心を持つ持つ企業や行政機関などが参加するグリーン購入ネットワーク主催の「第19回グリーン購入大賞」で大賞と経済産業大臣賞を受賞した。
「毎日使用しているコットンの糸にも開発途上国の厳しい現実があると知ってショックを受けた。そうした地域を支援して環境を守ることは、当社の経営理念である“お客様の快適で心豊かな生活に貢献する”にもつながると判断して認証を取得した。一般向けが中心だが、ノベルティー需要の引き合いは特に強い」(坂本将之社長)
製造から販売まで手掛ける利点を生かす
国際フェアトレード認証のタグを自社のタオルに付けようとすると、コットンから糸、タオルの製造や販売までのサプライチェーンに関係するすべての企業が同認証を取得する必要がある。他の地域から輸入したコットンや、そのコットンで作った糸が混じったタオルでは同認証のタグは付けられない。販売するときも他のタオルとは別に管理していることを明確にする必要がある。業務の手間が増えるようでは、一般企業は取得をためらうだろう。
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