
プラスチックは軽くて加工しやすく丈夫であり、腐食に強く、酸素や水分を通しにくく衛生的と、数多くのメリットがあったからこそ、ここまで広く普及してきた。だが、プラごみ問題の深刻化を受けて、包材メーカーの間では、プラスチックを代替し得る紙容器の開発競争が盛んになっている。
2020年7月1日から、日本ですべての事業者にレジ袋の有料化が義務付けられたことは記憶に新しい。実際の削減効果についてはさまざまな議論があるが、日々の暮らしに直結する場所で、多くの人にプラスチックごみ削減について意識を向けるきっかけをつくったインパクトは大きい。経済産業省も、有料化の告知の中で「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています」とうたっている。廃棄物・資源の節制、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題に対し、プラスチックの過剰な使用を抑制することは喫緊の課題となっている。
パッケージの分野では、紙がプラスチックを代替する素材として注目を集めている。紙の原料である木材は、人工的に栽培できる再生可能な原料であり、生育時にCO2を吸収するため、焼却時のCO2の排出量と相殺され、大気中のCO2の増減に影響を与えないとされる。木材の利用が必ずしも自然破壊につながるわけではない。材木を切り出した後に再び植林し、適正に管理する人工林から安定して供給できれば、無秩序な天然林の伐採に歯止めをかけることにもつながる。こうしたことから、環境保全に寄与する森林認証紙の活用が広がっており、パッケージの「紙化」は大きな流れになっている。
紙ならではの利便性も
大日本印刷(DNP)は19年8月、再封(リクローズ)が可能なチャック付き紙容器を開発した。開口部にプラスチック製のチャックを取り付けることで、リクローズを可能にした。本体にはバリア性の高い紙素材を使用し、水蒸気や酸素に対する高いバリア性も付与している。角型形状であることから、内容物によっては体積を減らすことができ、輸送効率や陳列効率が向上する効果もある。保形性が高く、開いた状態でも口が閉じにくく中身を取り出しやすい。使い終わった後はコンパクトに潰して捨てられる。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。