
日本製紙クレシアが2020年11月から販売している「スコッティファイン 洗って使えるペーパータオル 極厚手」(以下、極厚手)が、同社の当初予測を10倍も上回る売れ行きを見せている。通常のペーパータオルと比べても厚さは約6倍。それだけ破れにくく、捨てずに洗って使えば、紙の消費量削減につながる。サステナブルな製品といえるだろう。
「キッチンで使うペーパータオルは非常に便利だが、すぐに破れてごみが増えてしまう」「布ふきんは繰り返し使えるため、ごみにはならないが衛生面が心配」──。極厚手は、こんな悩みを解決した製品だ。これまでも「洗って使える」をコンセプトにした丈夫なペーパータオルを日本製紙クレシアは販売してきたが、それに対して極厚手は数倍の厚みと強さがあるという。アスクルのECサイト「LOHACO」で販売すると、すぐに話題になった。
実際に使用したユーザーに聞くと、丈夫さや使い勝手の良さは思った以上だったという。最初は皿を拭き、次はシンク周辺、さらにコンロや換気扇の清掃と、洗いながら何度も使えるため、気持ちがいいそうだ。
「パルプとポリプロピレン不織布を積層することで、布のような丈夫さと柔らかさ、吸水性を実現した。使用状況によって異なるので何回までなら使えるかは言えないが、破れるまで、どんどん使ってほしい」(日本製紙クレシア営業推進本部eコマース部の加藤雅紀氏)
極厚手を開発した背景には、ペーパータオルのユーザーの強いニーズがあったという。「もっと丈夫で破れにくくしてほしい」「もっと水に強いものが欲しい」「もっと幅広い用途で使いたい」といった声に対応した。特にコロナ禍以降は除菌や消毒をする用途が増え、ペーパータオルの需要が伸びた。こうした用途は今後も広がりそうなだけに、さらなる市場の拡大が期待できる。
極厚手に対応する生産ラインへ
極厚手の開発に着手したのは20年6月だった。最も苦労した点は、厚さと強度、生産のバランスだったという。極厚手は通常品を単に厚くしただけではない。柔軟性を保つための加工の仕方、ミシン目の入れ方も工夫している、生産ラインも極厚手に対応するため、一から設計して取り組んだ。工場の人員も巻き込み、20年11月のイベント「LOHACO展」で発表できるように間に合わせたという。
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