SDGs 2021

SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが本格化する中、2021年3月末、循環型ショッピングサービス「Loop」が日本での展開を開始する。ECサイトに加え、関東エリアのイオンの店舗とネットスーパーで専用商品を販売。消費者は、使い終わった空き容器を返却。Loopが回収した容器を洗浄し、各メーカーは洗浄済み容器に再び商品を充填して販売する。目指すのは容器を捨てることなく、消費者とメーカーの間で容器を循環させる新しいライフスタイルだ。ループ・ジャパン代表のインタビューと合わせて読んでいただきたい。

SDGsへの関心が高まる中、循環型ショッピングサービス「Loop」が日本でいよいよスタートする。身の回りに置いておきたくなるデザイン性豊かなパッケージも魅力だ
SDGsへの関心が高まる中、循環型ショッピングサービス「Loop」が日本でいよいよスタートする。身の回りに置いておきたくなるデザイン性豊かなパッケージも魅力だ

 SDGsへの取り組みは、もはや企業にとって避けて通れないものといっていいだろう。消費者の間で認識も広がり、積極的に取り組まないことは企業にとってリスクとなってくる。

 電通パブリックリレーションズ(東京・港)の企業広報戦略研究所が全国の消費者約1万人を対象に調査したところ、SDGsの認知率は2020年は39.8%と、前年比15.6ポイント伸びた。若い世代ほど認知率が高く、20代男性は61.7%に達した。さらに、企業のSDGsへの取り組みを認知した消費者の71.1%が、「その企業の商品やサービスを購入または利用」するなど何かしらの行動を起こしたと回答したという。

電通パブリックリレーションズ企業広報戦略研究所『2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査』より
電通パブリックリレーションズ企業広報戦略研究所『2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査』より

 こうした中、米テラサイクルの創業者、トム・ザッキー氏が立ち上げたLoopは、19年5月に米国とフランスでサービスを開始。繰り返し使える専用容器を使い、容器を回収・再利用することで、ごみを出さないライフスタイルを提供する。これまでの容器使い捨て文化からの脱却を促すLoopの仕組みは、SDGsにつながる取り組みとして注目を集めている。

 Loopには食品や飲料、日用品などを中心に200以上の参加メーカー(ブランドパートナー)がおり、取り扱い商品数は500以上。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や英蘭ユニリーバ、スイスのネスレなどがブランドパートナーに名を連ねる。ECユーザーは米国で約3万5000世帯、英国とカナダでそれぞれ5000世帯。最近はECに加えて、店舗販売にも乗り出している。

 米国、フランス、英国、カナダに続く5番目の市場である日本は、ECと店舗販売が同時に始まるのが他の国にはなかった点だ。膨大な商品が存在する食品や日用品のジャンルにおいては、Loopの商品ラインアップはまだまだ少ない。そのため、他の通常商品と合わせて購入できる店舗販売を、ビジネス的にも消費者の利便性的にも重視している。

日本国内で使用するLoopのトートケース(開発中)。このトートケースに商品を入れて宅配することで、緩衝材などのごみが出ない
日本国内で使用するLoopのトートケース(開発中)。このトートケースに商品を入れて宅配することで、緩衝材などのごみが出ない
【特集】SDGs 2021
【第1回】 SDGsで日本の消費を変えるLoopとは? イオンほか24社本格始動 ←今回はココ
【第2回】 世界で進むLoop経済圏 日本代表に聞いた3つのユーザーメリット
【第3回】 SDGsの先を行くユニリーバ 日本初、PET単一素材のフィルム包装
【第4回】 野菜の皮も芯も全部食べる「ZENB」 SDGsへ本気のミツカン
【第5回】 SDGsで売れる製品の条件
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 Loopは日本でも最大5000世帯を対象に自社のECを運営しつつ、回収した容器の洗浄と保管を担当し、消費者とブランドパートナーの間をつなぐ役割を担う。容器の洗浄委託費とブランドパートナーとの契約金がLoopの主な収入源だ。LoopのECで販売した商品は、専用のトートケースに入れて配送する。これなら緩衝材を使う必要がないため、ごみが出ない。日本で使用するLoopのトートケースは、米国のLoopで使っているものよりもコンパクトなものを用意する。

関東エリアのイオンとネットスーパーで販売開始

 ECと両輪となる店舗販売を担うLoopの小売りパートナーは、日本ではイオン。サービス開始時は、関東エリアの店舗で販売を開始する。当初は、東京都内16店舗、神奈川県内と千葉県内で1店舗ずつ、合計18店舗で販売を予定している。また、Loop商品を販売するイオンの店舗では、ネットスーパーでも取り扱う予定だ。

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