
ファッションや美容、グルメ情報が中心というイメージが強い女性誌に、異変が起きている。2020年から「サステナビリティー」(持続可能性)や「SDGs」(持続可能な開発目標)を特集する誌面が目立って増えているのだ。
情報誌「Hanako」(マガジンハウス)は3号連続でSDGsを第2特集として展開し、20年10月28日発売の1190号では丸ごと1冊SDGsを特集している。ママ向けのファッション誌「VERY」(光文社)は、20年2月号で環境問題に関心がある主婦を “サスティナママ”と命名し、巻頭特集を展開した。若い女性向けのファッション誌「sweet」(宝島社)は21年1月号の巻頭特集「スウィート的new normal」で、サステナブルライフのためのグッズなどを約6ページにわたって紹介している。10代後半から20代の女性が中心読者のファッション誌「ViVi」(講談社)でも、20年9月号で「半径5メートルのSDGs」と題し、人気芸人のEXITを起用した若い女性向けの環境特集を展開している。
「かわいい」だけでは同世代にイケていると思われない
販売部数14万部以上、20代をターゲットにしたファッション誌で最も売れているという「sweet」の鏡味由起子編集長は、SDGsのページを作った理由の1つに、若い女性の興味や関心の変化を挙げる。
「『sweet』は1999年の創刊時から『28歳、一生“女の子”宣言!』をコンセプトとし、若い女の子が好む“大人かわいい”ものの情報をコンテンツとして盛り込んでいるが、昨今、コロナ禍など時代の流れもあって、若い女性の興味や関心が変化している。同世代の中で、ただかわいいだけでイケていると思われる時代ではなくなっている」(鏡味氏)
こうした流れは以前からあったが、鏡味氏がそれを強く感じたのは、20年12月号増刊で「GIRL'S POWER」という特集を組んだとき。ファッション感度の高い若い女性たちに興味を持っていることについて語ってもらったところ、環境に対する関心が想像以上に高いことに驚いたという。「身近なインフルエンサーや海外のセレブが環境について発信することが増えている影響もあると思う。でもきっかけは何でもいいのでは。環境問題は生活に入り込んでくるテーマなので、一度気になり始めるとあらゆることが環境に結びついていることが分かる。自分に合った形で無理せずやっていくことが大事だと考えている」(鏡味氏)。
同誌では「Z世代のSDGsリーダー」と呼ばれているモデルの長谷川ミラの新連載も予定しており、今後もファッションなど若い女性の興味をフックに、環境問題への関心を高める手伝いをしていきたいと語る。
SDGs特集の先駆けは「FRaU(フラウ)」
こうした女性誌の流れの先鞭(せんべん)をつけたのは、19年1月号で女性誌では初めて1冊丸ごとSDGsを特集した「FRaU(フラウ)」(講談社)だ。その前年の調査では、日本人のSDGs認知度は15%前後と決して高くはなかったという。なぜこれほど認知度の低いテーマであえて特集を組んだのか。特集号を企画した「フラウ」編集長兼プロデューサーの関龍彦氏に聞いた。
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