SDGs 2021

SDGs(持続可能な開発目標)の中でも早急に取り組むべき課題とされている食品ロス問題。ここにアプローチするのが、Mizkan(ミツカン)グループの「ZENB」だ。ZENBは、野菜などを可能な限りまるごと使った食品のブランド。「おいしい」と「カラダにいい」の両立、さらに「地球に優しい」を目指す。

(左上から時計回りに)野菜をまるごとペーストにした「ZENB PASTE」(1620円、税込み、以下同)、スティック状の「ZENB STICK」(6種6本1788円)、一口サイズの「ZENB VEGE BITES」(3袋1134円)、豆100%の乾麺「ZENB NOODLE」(8食1584円)。公式ECサイトを中心に販売。このほかにZENB NOODLE用のソースもある
(左上から時計回りに)野菜をまるごとペーストにした「ZENB PASTE」(1620円、税込み、以下同)、スティック状の「ZENB STICK」(6種6本1788円)、一口サイズの「ZENB VEGE BITES」(3袋1134円)、豆100%の乾麺「ZENB NOODLE」(8食1584円)。公式ECサイトを中心に販売。このほかにZENB NOODLE用のソースもある

 2019年3月発売の「ZENB」は、普通は捨ててしまう野菜の皮や芯・さやなども捨てずに使用することで環境負荷や食品ロスを減らし、素材本来のおいしさや栄養素を引き出す。まるごとの野菜をペーストにした「ZENB PASTE」や、まるごとの野菜に雑穀・ナッツを加えたスティック「ZENB STICK」、一口サイズの「ZENB VEGE BITES」などがある。20年9月に発売した豆100%の乾麺「ZENB NOODLE」は、人気のあまり、一時欠品状態にもなった。20年3~12月のブランド全体の売り上げは、前年同期比8.5倍に伸びている。

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 ZENBは、SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」にミツカンが本気で取り組もうとする象徴であり、18年11月から取り組む「ZENB initiative」の一環として生まれた。18年に創業215年を迎えた同社は、10年先の未来を見据えた「ミツカン未来ビジョン宣言」を発表。ZENB initiativeでは、同宣言のビジョンの一部である「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」を実現するため、外部の多様なプロフェッショナル(シェフや料理研究家、学者や管理栄養士など)と協力しながらさまざまな活動を展開している。ZENBも、多様なプロフェッショナルの意見を取り入れながら開発したという。

ZENBは、そのまま食べるのはもちろん、料理にも幅広く活用できる。野菜そのものの色を生かし、体に優しく色鮮やかな料理やスイーツを作れる。公式InstagramではZENBを活用した豊富なレシピも公開中
ZENBは、そのまま食べるのはもちろん、料理にも幅広く活用できる。野菜そのものの色を生かし、体に優しく色鮮やかな料理やスイーツを作れる。公式InstagramではZENBを活用した豊富なレシピも公開中
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独自の技術でおいしさを引き出す

 ミツカンがZENBの開発で特に気を使ったのが、商品の味わいだった。「どんなに体に優しい食品でも、おいしくなければ食べ続けられない。『おいしい』と『カラダにいい』を両立することが重要だった」(Mizkan Holdings新規事業開発プロジェクトの長岡雅彦氏)

 ZENBでは、素材をまるごと、無駄なく使う提案をしているが、野菜の皮や芯をおいしく食べるためには、味や食感を良くするための工夫が不可欠だった。また、体に負荷をかけないために、塩分などの添加物でおいしさを表現するのではなく、野菜本来のおいしさを表現したかった。

 そこで使用したのが、ミツカンが長年の研究で生み出してきた独自の技術。素材である野菜や豆、穀物などを、それぞれの特性に合わせた方法で濃縮し(トウモロコシならゆでて甘さを出す、パプリカなら生のまま使用してフレッシュさを表現するなど)、滑らかにすり潰すことで、素材本来のおいしさや色合いを引き出した。

ZENBでは、野菜をまるごと使用することで食品ロスを減らし、野菜の栄養を余すことなく摂取できる。画像では、ZENB PASTEに含まれる野菜の可食部と、皮や芯など食べずに捨てている部分を対象に、食物繊維量やポリフェノール量を比較している
ZENBでは、野菜をまるごと使用することで食品ロスを減らし、野菜の栄養を余すことなく摂取できる。画像では、ZENB PASTEに含まれる野菜の可食部と、皮や芯など食べずに捨てている部分を対象に、食物繊維量やポリフェノール量を比較している

 20年9月に新発売した豆100%のZENB NOODLEは、構想から発売までに約3年かかったという。

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