SDGs 2021

SDGs(持続可能な開発目標)に対応し、「捨てない」に知恵を絞る企業の動きを追う特集の第3回はユニリーバ。2021年4月7日に発売するヘアケア商品「ラックス ルミニーク サシェセット 限定デザイン」は、日本で初めて、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材だけでできたフィルムパッケージを採用。リサイクルを促進する。さらに「25年までの3つの目標」を掲げ、プラスチックパッケージによる環境負荷削減を推し進める。

「ラックス ルミニーク サシェセット 限定デザイン」はハピネスブルーム(左)、ダメージリペア(中)、ボタニカルピュア(右)の3種類。一部のドラッグストア、ホームセンター、薬局など店舗限定で発売する
「ラックス ルミニーク サシェセット 限定デザイン」はハピネスブルーム(左)、ダメージリペア(中)、ボタニカルピュア(右)の3種類。一部のドラッグストア、ホームセンター、薬局など店舗限定で発売する

 シャンプーなどの詰め替え用製品で使われるフィルムパッケージは、ボトル容器に比べてプラスチックの使用量が約70~90%少ない。しかし、一般的なフィルムパッケージはリサイクルしにくかった。外部と遮断するバリア性や保存性、強度を保つため、PET、PE(ポリエチレン)、アルミなど異なる特性を持つ複数の素材を貼り合わせており、素材ごとに分離することが難しいからだ。

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 ユニリーバ・ジャパン(東京・目黒)が今回採用したパッケージは、PET単一素材でリサイクルしやすい。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス(同)のアシスタントコミュニケーションマネジャー、新名司氏は、「プラスチックは丈夫で衛生的で、液体容器として優れている。そのごみが問題だからといって完全に排除するのではなく、循環型経済の輪の中に入れて、ちゃんとリサイクルできるものを作ろうと考えて開発したのが今回の製品」と語る。

フィルムパッケージの素材構成のイメージ。従来のフィルムパッケージ(左)は複数の素材が貼り合わされているため、リサイクルが難しい。単一素材(右)にすることでよりリサイクルしやすくなる
フィルムパッケージの素材構成のイメージ。従来のフィルムパッケージ(左)は複数の素材が貼り合わされているため、リサイクルが難しい。単一素材(右)にすることでよりリサイクルしやすくなる
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 パッケージのベースとなったのは凸版印刷が19年7月に開発したPET単一素材。水蒸気などをほとんど通さない高いバリア性能を持ったPET基材のGL FILMと、PETシーラントを組み合わせたものだ。これまでPP(ポリプロピレン)単一素材の軟包材はあったが、PET単一素材の軟包材は日本初だという。PETは耐熱・耐寒性や強度に優れ、透明度が高く、日用品のパッケージとして最も多く使用されている。

 ユニリーバは凸版印刷と共同で、シャンプーなどとの適性試験や品質検証などを行い、軟包材として使えるPET単一素材のパッケージの開発に取り組んできた。凸版印刷が素材を開発した直後からパッケージ開発に着手したが、完成まで約2年かかった。開発担当のユニリーバ・ジャパン・サービスのR&Dヘアパッケージング、竹内伊織氏は、開発時の苦労を次のように語る。

 「シャンプーなどを入れたパッケージの表面にシワができやすかったり、内容物が外に出ないよう封をするのが難しかったりした。また、蒸発を防ぐために2つのPET素材をどう組み合わせるかなど、さまざまな課題があった。しかし、関係各所に協力いただいて、製品の品質を保ちながら、一つひとつ解決してきた」

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