SDGs 2021

参天製薬(以下、Santen)とインターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(IBF Foundation)、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は2020年10月、視覚障がいに関する社会課題の解決に向けて、10年の長期パートナーシップを締結した。SDGs(持続可能な開発目標)へつながるユニークな取り組みだが、組織文化や価値観の違いが立ちはだかる。そこを乗り越えるために取り組んだ「ビジョンデザイン」。ファシリテーションを担当したデザインファームBIOTOPEが、ビジョンづくりのプロセスとポイントを解説する。

SantenとIBF Foundation、日本ブラインドサッカー協会がパートナーシップによって目指す未来のビジョン
SantenとIBF Foundation、日本ブラインドサッカー協会がパートナーシップによって目指す未来のビジョン

 このパートナーシップは、「点眼薬」のイメージが強いSantenが製薬企業としての枠組みを越え、「見る」を通じて社会に貢献する企業となること、そしてこれまでの医療領域にとどまらず、視覚障がい者を含めたすべての人が交ざり合い、いきいきと共生する社会を目指す取り組みでもあります。

前回(第17回)はこちら

 また、JBFA、IBF Foundationはロービジョン、ブラインドネスの方々と共に、「ブラインドサッカーというスポーツを通じて視覚障がい者と健常者が当たり前に交ざり合う社会を実現すること」をビジョンに掲げ活動する組織です。

 ビジネスセクター、そしてスポーツ団体のソーシャルセクターというそれぞれの立場から異なる視点を持ちつつも、同じ未来を願っている者同士がお互いの強みを活かし、視覚障がい者と晴眼者が交ざり合う世界の実現を本気で目指します。

 この先10年間を共に歩んでいくパートナーとして、立場や組織風土が異なる「組織の壁」を越え、心のよりどころとなる「大義」を定めるため、10年という長期パートナーシップのビジョンデザインの取り組みを始めました。BIOTOPEでは、そのプロセスにおける両者のファシリテーションで伴走させていただきました。

ステップ1:コアメンバーの創りたい未来と動機の共有

コアメンバーそれぞれが目指したい未来の可視化
コアメンバーそれぞれが目指したい未来の可視化

 立場の違いから、1つの社会課題に対して異なる視点や実感値、未来ビジョンを持つ両者。まずはそのギャップを認識し、埋めることから始めました。

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