SDGs 2021

参天製薬(以下、Santen)とIBF Foundation、日本ブラインドサッカー協会は2020年10月、2030年までの10年間に及ぶパートナーシップ契約の締結を発表した。将来的なビジネスとの連携を視野に入れたSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みだ。最初に手掛けたビジョンデザインの過程で見えてきたのは、経営トップの「熱量」の重要性だ。

ワークショップ第3回では、ターゲットやテーマごとに解決アイデアの仮説をつくっていった
ワークショップ第3回では、ターゲットやテーマごとに解決アイデアの仮説をつくっていった

 Santenとインターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(IBF Foundation)、日本ブラインドサッカー協会は、今回のパートナーシップによって、視覚障がい者を含めたすべての人が交ざり合い、いきいきと共生する「インクルーシブな社会」を目指す。だが、文化が異なる組織がSDGsという難しい課題に挑戦するには、どうしても共通の「ビジョン」が必要だった。

前回(第16回)はこちら

 共創型戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗邦威氏が設定したワークショップは、下記の全4回。異なるセクター同士の共創を成功させるには経営トップの「熱量」こそ重要だということが、このワークショップの実態から見えてくる。Santen CSR室長の中野正人氏と、日本ブラインドサッカー協会専務理事の松崎英吾氏に、ビジョンづくりのワークショップから得られたさまざまな「気づき」を聞いた。

<ワークショップのプログラム>
第1回:今回のパートナーシップと、視覚および覚障がいに対する思いの共有
第2回:視覚領域における社会課題の可視化
第3回:ターゲットやテーマごとに、解決アイデアの仮説づくり
第4回:2030年までの年表に落とし込み、最終的なビジョンを作成

BIOTOPE・佐宗邦威氏(以下、佐宗) 第3回のワークショップでは、実際にどんなことができるか、アイデア出しをしていきましたね。ターゲットは視覚障がい者なのか、健常者なのか、両方なのか。ターゲットへのアプローチはどうするのか。「見えない」ということに意識を向けてもらうためのツールや仕組みはあるか。そして、ブラインドサッカーそのものの体験をいかに拡張していくか、アイデアを出し合いました。

 その後「フォローアップのためのセッションをやりたい」という話が出たので、お互いの納得感のあるところまでは土台ができたのかなと思います。

第3回のワークショップで見えてきた3つの機会領域
第3回のワークショップで見えてきた3つの機会領域

一人ひとりが年表を作り、大きなビジョンが完成

 4回目のワークショップでは、3回目のワークショップで見えてきた3つの機会領域が、実際にどんな価値をつくり出すのか、なぜそれをSantenと日本ブラインドサッカー協会がやるべきなのかを議論していきました。そして一人ひとりが2030年までの年表に落とし込み、最終的なビジョンをつくっていきましたね。

Santen・中野正人氏(以下、Santen・中野) 30年までのマップを一人ひとりが描いたときは、みんな自分のミッションとして捉えて、本気のことを書いているという印象を持ちました。プロジェクトに参加するための宿題をしているのではなく、「このプロジェクトでこういう展開ができるぞ」と自分ごとになっていると感じました。

日本ブラインドサッカー協会・松崎英吾氏(以下、ブラサカ・松崎) 僕は4回目のワークショップも、雰囲気としてはまだストーミングのフェーズだったと感じました。でも、それでよかったと思います。諦めずに議論をしたことで、みんなが納得するプロジェクトのストーリー化ができました。

中野 正人 氏
参天製薬 企画本部CSR室室長
1991年4月、参天製薬入社。2003年10月、医薬事業部営業企画グループ営業企画チームチームマネージャー。07年10月、医薬事業部事業戦略企画グループグループマネージャー。11年10月、人材開発本部人材開発グループマネージャー。14年4月、医薬事業部医薬営業統括部中部エリアエリアマネージャー。18年4月、参天ビジネスサービス営業サポートセンターセンター長を経て、18年10月、CSR・内部統制本部(現 企画本部)CSR室室長に就任。
※19年4月、組織変更のため、CSR・内部統制本部は解消され、所属組織は企画本部、財務本部などへ。

佐宗 イノベーションの仕組みづくりについて議論したときに、障がい者の雇用を生み、これまでの価値を変えるようなサービスを生み出すための座組みをつくり、社会を変えていこうという話が出ました。僕はこの話を聞いたとき、このパートナーシップのユニークなポイントが見えたと思いました。

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