SDGs 2021

参天製薬(以下、Santen)とIBF Foundation、日本ブラインドサッカー協会は2020年10月、2030年までの10年間に及ぶパートナーシップ契約の締結を発表した。SDGs(持続可能な開発目標)につながる取り組みの一環として、視覚障がいの有無にかかわらず参画できる「インクルーシブな社会」の実現を目指す。まず手掛けたのは、「ビジョンの共有」だった。

パラリンピックの正式種目にもなっているブラインドサッカー(5人制サッカー/Football 5-a-side)。ゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールを使ってプレーする (C)JBFA/H.Wanibe
パラリンピックの正式種目にもなっているブラインドサッカー(5人制サッカー/Football 5-a-side)。ゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールを使ってプレーする (C)JBFA/H.Wanibe

 視覚に関わる社会課題の解決に向け協力する──。2020年10月、Santenとインターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーション(IBF Foundation)、日本ブラインドサッカー協会が発表した10年の長期にわたるパートナーシップ契約。SDGs(持続可能な開発目標)の一環として注目されるが、実は発表以前に、コアメンバーによって共通のビジョンづくりのためのワークショップが続けられていた。

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 今回のパートナーシップに関わった共創型戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗邦威氏は、「最初からすべてのビジネスプランがあるわけではなく、大きなビジョンを一緒に設定して、そこに向かって多くの会社を巻き込みながら、価値創造の場をつくっていく面白い取り組み」と語る。

 文化の違う組織が設定した共通のビジョンとは何なのか。SDGsの取り組みを実効性のあるものにするためには何が必要なのか。SantenのCSR室長、中野正人氏と、日本ブラインドサッカー協会専務理事の松崎英吾氏に、なぜビジョンづくりが必要だったのかを聞いた。

異例の10年契約の理由

BIOTOPE・佐宗邦威氏(以下、佐宗) Santenさんは、もともとブラインドサッカーをどのようにご覧になっていたのでしょうか。

Santen・中野正人氏(以下、Santen・中野) 以前から、視覚障がい者のスポーツを応援して社会貢献しようという考えがありました。サッカーは世界に浸透しているグローバルなスポーツであり、ブラインドサッカーは視覚障がい者と健常者が同じフィールドに立つところが魅力だと感じました。選手だけでなく、審判やコーチまで、障がい者と健常者が交じり合っている世界観にひかれていました。

中野 正人 氏
参天製薬 企画本部CSR室室長
1991年4月、参天製薬入社。2003年10月、医薬事業部営業企画グループ営業企画チームチームマネージャー。07年10月、医薬事業部事業戦略企画グループグループマネージャー。11年10月、人材開発本部人材開発グループマネージャー。14年4月、医薬事業部医薬営業統括部中部エリアエリアマネージャー。18年4月、参天ビジネスサービス営業サポートセンターセンター長を経て、18年10月、CSR・内部統制本部(現 企画本部)CSR室室長に就任。
※19年4月、組織変更のため、CSR・内部統制本部は解消され、所属組織は企画本部、財務本部などへ。

佐宗 パートナーシップを結ぶことになったのはなぜですか。

Santen・中野 2019年に、2030年に向けた会社のビジョンを作成していたんです。その際、薬を開発して患者さんの役に立つだけでなく、目に携わる企業として、光を失ってしまった人に対して何かできることはないかと考えました。そこで掲げたのが、視覚障がいの有無にかかわらず誰もが参画する「インクルーシブな社会」というビジョンです。

 これを実践しているのが日本ブラインドサッカー協会さんで、我々の向かうべき方向性と同じだと思いました。日本ブラインドサッカー協会さんの活動を拝見して、お互いの強みを生かしながら、同じ世界観を共に構築できるだろうと感じました。そうであるならば、長期のパートナーシップを結ぼうということになりました。

佐宗 スポーツにおいては、企業がスポンサーとなり、マーケティング的な効果に対してお金を払うというビジネスモデルが多いと思います。今回は、それとは少し違った形のパートナーシップですね。

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