全米小売業協会(NRF)が主催する小売り分野の大型イベント「NRF 2021: Retail's Big Show」が、2021年1月12~22日まで完全オンラインで開催された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う顧客の消費行動の変化に対応するため、リテール業界がどのように工夫をしたのか。1回目はニューノーマル(新常態)に対応し生き残るため、各社が取り組む「新陳代謝」を紹介する。
「まず従業員をサポートし、その次に自分達の強みを生かし、将来への投資を考えた。パンデミックの中でも長期的な視点で競争力を保ち続けないといけない」
カナダのスポーツウエアの製造・販売大手、ルルレモン・アスレティカのアメリカズ&グローバルゲストイノベーション社長のセレステ・バーゴイエン氏は、1月21日の基調講演でこう力をこめた。アメリカン・エキスプレス 米国マーチャントサービス社長のコリーン・テイラー氏との対談での一コマだ。
米国でも2020年3月中旬からコロナ禍が本格化。まず起こったのが、人々の消費や生活の行動変化だ。感染を避けるため自宅にとどまり、屋外スポーツやジムでのトレーニングも控えるようになった。米大手ジムのゴールドジムの運営会社も破綻に追い込まれた。
フィットネス新興を500億円で買収
こうした中でルルレモンが採ったのが、新領域への進出による攻めの経営だ。20年6月末にオンラインフィットネスのスタートアップ、米ミラーを5億ドルで買収すると発表した。コロナ禍で約520億円という投資規模は驚きをもって受け止められた。バーゴイエン氏は「ミラーを迎え入れることで、フィットネスとマインドフルネスを提供できると考え、本当に興奮した」と振り返る。
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