
米グーグルによるサード・パーティー・クッキーの廃止方針を、デジタル広告業界はどのように受け止めているのか。クッキーをフル活用する広告購入側の配信プラットフォーム大手の米ザ・トレード・デスク(The Trade Desk)は大きな影響を受ける1社であり、グーグルの新たなライバルとして報じる米メディアもある。どのように対処していくのか。トレード・デスクのCOO(最高執行責任者)のミシェル・ハルスト氏に聞いた。
【第2回】 Google本社の責任者が告白 クッキー代替技術「FLoC」開発の裏側
【第3回】 リタゲ広告に壊滅危機 広告会社が生き残りかける3つの方向性
【第4回】 アップル「IDFA」変更で広告業界騒然、フェイスブック猛烈抗議
【第5回】 ディノスが脱クッキーでデータ戦略推進 カタログとアプリを融合
【第6回】 ポストクッキー有力候補か ゼロパーティーデータの利点と課題
【第7回】 米大手メディアで始まる脱広告プラットフォーム、GAFA対抗なるか
【第8回】 米広告業界に突如巨大ライバル、ウォルマートがデジタル広告内製
【第9回】 ラコステがゼロパーティーデータ活用へ アンケート回答率2倍に
【第10回】 グーグルの“ライバル”がクッキー廃止に新技術、COOが戦略語る
【第11回】 グーグルが個人追跡型広告と決別宣言 オラクルが反発を表明
米グーグルがChromeブラウザーでのサード・パーティ・クッキーのやり取りを廃止。「FLoC」と呼ぶAI(人工知能)を活用した技術をブラウザーに搭載し、利用者の属性を管理する方式に変更する。これはトレード・デスクや業界にどのような影響を与えそうか。
ミシェル・ハルスト氏 テスト中であり、FLoCへの転換がどのように影響をもたらすのかは現時点で断言することはできない。グーグルのFLoCによるデジタル広告の有効性の主張は、実際のキャンペーンではなくシミュレーションに基づいている。
グーグルは、2021年第2四半期までに広告主によるFLoCのテスト利用ができるようになるとしている。そのテスト結果がどうであれ、FLoCがクッキーが廃止された後のアイデンティティーの問題を解決する一つの策になると信じている。ただ、完全な解決策にはならないと思っている。例えば、FLoCはChromeブラウザー上でのみ動作する。(広告表示の場所を提供する)パブリッシャーは、小規模な場合は不利に働く可能性がある。
トレード・デスクとして、こうしたグーグルの方針にどのような対応を考えているのか。
ハルスト氏 グーグルが2021年春にFLoCのテストを始めるのにあたり、当社としては広告主のユースケースにどのように対応していけるのかを理解していきたいと思っている。
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