
米グーグルがWebブラウザー「Chrome」でサード・パーティー・クッキーの受け入れ廃止に向け、代替技術の実証実験を本格化させる。同社のトラスト&プライバシーグループプロダクトマネージャーが、サード・パーティー・クッキーが抱える課題点や代替技術開発プロジェクト「プライバシーサンドボックス」の方針、第三者である広告会社への提供方法などについて語った。
【第2回】 Google本社の責任者が告白 クッキー代替技術「FLoC」開発の裏側
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【第4回】 アップル「IDFA」変更で広告業界騒然、フェイスブック猛烈抗議
【第5回】 ディノスが脱クッキーでデータ戦略推進 カタログとアプリを融合
【第6回】 ポストクッキー有力候補か ゼロパーティーデータの利点と課題
【第7回】 米大手メディアで始まる脱広告プラットフォーム、GAFA対抗なるか
【第8回】 米広告業界に突如巨大ライバル、ウォルマートがデジタル広告内製
【第9回】 ラコステがゼロパーティーデータ活用へ アンケート回答率2倍に
【第10回】 グーグルの“ライバル”がクッキー廃止に新技術、COOが戦略語る
【第11回】 グーグルが個人追跡型広告と決別宣言 オラクルが反発を表明
グーグルではサード・パーティー・クッキーの問題をどう捉えていますか。
サード・パーティー・クッキーはインターネットサービスを開発する上で広範囲に使われていますが、プライバシーを保護する上で特定の制限をかけるのが技術的に難しくなってきています。そして、いくつかのサード・パーティー・クッキーでは必ずしもプライバシーを守られているわけではありません。ですから、プライバシーに配慮するために新しい仕組みが必要と考え、プライバシーサンドボックスのプロジェクトはスタートしました。
プライバシーサンドボックス開発の基本方針を教えてください。
2020年1月にサード・パーティー・クッキーの利用を段階的に廃止し、その代替技術としてプライバシーサンドボックスの開発を進めると発表しました。最初から「プライバシー」か「広告」かという極端な選択ではなく、プライバシーを優先しながらパーソナライズされた広告を提供する、そうした方法を検討すべきだと考えました。
基本的な方針はプライバシー保護のため、個人を識別できないようにすることです。そこで、個人を特定せずに興味関心を軸としたメカニズムを開発しています。
FLoC(フェデレーテッド・ラーニング・オブ・コホート)はプライバシー保護の観点から、クッキーと比べてどう優れているのでしょうか。
FLoCは利用者のデバイス上で機械学習と分析を行う手法です。AI(人工知能)を用いて類似のWebサイトのコンテンツ閲覧行動を示すユーザーを「コホート」と呼ぶ数千人単位のグループにまとめ、IDを付与していきます。個別のユーザーIDではなく、グループ単位のIDのみが公開されます。
また、利用者のローデータ(元データ)がデバイス外に持ち出されたり、収集・保存されたりすることはありません。計算の結果のみがサーバーに安全にアップロードされます。これにより、多数のユーザーデータが一斉に漏洩するといった事態や悪用など、一元管理されたデータ収集で起き得るリスクから保護します。
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