圧倒的なユーザー数を抱え、巨大データホルダーとなったGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)。データ量では、日本企業は1社では太刀打ちできない。複数社間でのデータの共有・共同利用が突破口と目されるが、個人情報保護の観点で議論は必須だ。そんな中、注目を集めるのが「秘密計算」。その有用性と課題を解説する。

プラットフォームである強みを生かし、膨大なデータを収集できるGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)。超巨大データホルダーへ日本企業が対抗するために必要なことは……(写真/Shutterstock)
プラットフォームである強みを生かし、膨大なデータを収集できるGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)。超巨大データホルダーへ日本企業が対抗するために必要なことは……(写真/Shutterstock)
本日の「データドリブン」のツボ!
  • 巨大データホルダーGAFAに対抗する一つの手段は、企業間のデータの共有・共同利用
  • データ流通には、個人情報保護の観点での議論と仕組みづくりが必須
  • 会社間でデータを開示しない「秘密計算」がデータ流通の突破口に

<前回(第10回)はこちら

 これまでの連載では、企業が自社保有のデータを利活用し、データドリブンな会社を目指すことを前提に話を進めてきた。だが、どんなにデータを保有している企業だったとしても、自社データだけではいずれその活用に限界が来ることになるだろう。将来を見据えたとき、1つの企業のデータだけでGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)など巨大なデータホルダーに対抗していくのは厳しいからである。

 周知の通りGAFAは強力なプラットフォームの提供を通じて、利用者のありとあらゆる局面でのデータを収集し保有している。私の家の住所や勤務先、よく買い物をする店、趣味嗜好、好きなスポーツなど、すべてお見通しなのである。

 一方で、日本企業が単体でこれらの情報を網羅することはほぼ不可能であり、そうなると複数の企業間でデータを共有・共同利用しながら、GAFAなどに伍(ご)していくのも一つの可能性ではないだろうか。それがデータ流通という考え方である。

“脱クッキー”で企業間のデータ流通に期待も

 データ流通にもさまざまなやり方が考案されているが、特にBtoC企業の持つ顧客情報の取り扱いについては、メリットは大きいものの、個人情報保護の制約からなかなか前進していないのも現状だ。

 顧客の情報を他社と共同利用するためには、原則的に顧客の同意が必要であるが、ほとんどの企業において顧客情報取得時に「あなたの情報を他社と交換して使わせてください」と許可を取っているケースは皆無だろう。よって、企業間でデータを交換・利用しようとする場合には改めて顧客同意を求めなければならず、顧客へ与えるマイナスイメージに加え、既に何百万も会員がいる企業にとっては実務的にもハードルが高い。同意を取らずに匿名加工化や統計化処理して社外にデータを出すケースは最近増えてきているが、正確な顧客のひも付けは困難であるからどうしても精度は落ちてしまう。その結果、メッシュの粗い情報とならざるを得ない。

 現在、企業間の会員をある程度の精度でひも付けられる唯一の方法は、「サード・パーティー・クッキー」(編集部注:アクセスしたウェブサイトの事業主体者とは別の第三者が発行するクッキー)を使うことだが、昨今のクッキー規制の潮流では、今後は利用できなくなっていくだろう。

サード・パーティー・クッキーが規制される傾向にある中、企業をまたいで個人の行動を追うことはさらに困難になりつつある。企業間におけるデータ流通の突破口とみられる「秘密計算」とは……(写真/Shutterstock)
サード・パーティー・クッキーが規制される傾向にある中、企業をまたいで個人の行動を追うことはさらに困難になりつつある。企業間におけるデータ流通の突破口とみられる「秘密計算」とは……(写真/Shutterstock)

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