小さな分析事例が積み上がり、データドリブン化の機運が高まってきたら、本格的に分析ツールの導入を検討する段階に入る。だが、ツール選びは、「どのような分析人材を育てたいか」ともリンクしており、そう簡単ではない。今回は、ツールの現状と選び方を、東日本旅客鉄道でデータマーケティング部門を率いる渋谷直正氏が解説する。
- 「BI」か「BA」か、分析ツールは大きく2種類に分類して考える
- Excel集計の代わりに、BIツールの導入で現状把握の手間を簡略化
- BAツールは「統計解析系」と「機械学習系」の2つに分類できるが、違いを理解してから選ぶべき
第7回で全社をデータドリブン化するために必要な“道具”として分析ツールに触れた。分析ツールは数多存在するので道具単独で考えてしまいがちだが、本来は分析教育とセットで考える必要がある。つまり「どういう分析人材を育てたいのか」という目標に応じて、それにフィットするツールを全社に計画的に導入していくべきである。
人材育成(教育)の話に入る前に、今回は分析ツールにはどういうものがあり、何ができるのか、その違いや目的について分かりやすく解説していく。データをいじったことがない人にとっては、多少難易度が高い話になるが、ツールを活用していく上でも知っておくことは重要なので、ぜひ読んでもらいたい。
ひと口に分析ツールといってもさまざまなものがあるので、それらを改めて俯瞰(ふかん)しておこう(表1)。世の中で分析ツールといわれているものは、BI(Business Intelligence)ツールと、BA(Business Analytics)ツールに大きく分けられる。
BIツールの全社導入で、「データを見る」ことを誰でも当たり前に
BIツールは集計や可視化(集計表をつくったり、グラフを描いたりすること)、リポートやダッシュボードなど、いわゆる現状の「見える化」(現状把握)に使われる。
機能自体に高度なものはなく、専門知識も必要としないので、Excelのピボットテーブルやピボットグラフと同等と考えればいい。その点では、Excelを使いこなせればBIは不要とも言えなくはないが、Excelでは大量*1のデータは扱えないし、ダッシュボード化して共有するなどの機能はBIが優れている。単に集計結果を見栄え良くまとめる(ビジュアライゼーション)ために使うのではなく、大量のデータから探索的に知見を引き出す道具として使ってこそBIツールの真価が発揮される。
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