「我が社にはデータ分析ができるような社員はいない。どうやって始めればいいのか?」。これだけ分析人材の不足が叫ばれる中で、当然浮かぶ疑問だ。連載第4回で述べたように、データドリブン化のカギを握る「シチズンデータサイエンティスト」を発掘、育成する要諦を、デジタルガレージCDO(チーフデータオフィサー)の渋谷直正氏が説明する。

データ分析やDXを進める中で、データサイエンティストを採用、もしくは育成する企業が増えている。人材を育成する際に重要なのは、コードが書けたり、最新のツールを使いこなせたりすることではなく、実は……(写真/Shutterstock)
データ分析やDXを進める中で、データサイエンティストを採用、もしくは育成する企業が増えている。人材を育成する際に重要なのは、コードが書けたり、最新のツールを使いこなせたりすることではなく、実は……(写真/Shutterstock)
本日の「データドリブン」のツボ!
  • データ分析人材は、外部登用ではなく「社内公募制」をまず検討
  • 人材を選ぶ際には、分析スキルの高さよりも好奇心、ビジネスマインドを優先する
  • サンプルデータでスキルを磨くより、まず現場でデータを触ってみるのが近道

前回(第4回)はこちら

 企業をデータドリブン化していくためには、自社社員をシチズンデータサイエンティストに育成していくことが必要である点を前回述べた。では、どのようにして分析人材を獲得・育成していくべきなのか。

 まず、「自社養成」「外部からの採用」「外注」の3つに大きく分けられる。今までの連載で述べた通り、データドリブンな会社とは、多くの社員が自分で分析できる(=シチズンデータサイエンティスト)状態であることを踏まえると、やはり自社養成を目指すべきだ。ある程度の分析経験やリテラシーを有する社員がいる場合や、専門部署が既に立ち上がっている場合は、そこを中心に社内に分析を広めていくのがいいが、都合よくそうした社員が見つからない場合がほとんどだと思われる。

 その場合は、社内公募制(お手挙げ制)でやる気のある社員を募るのも一案だ。分析やデータを扱う業務は、本人のモチベーションや興味があることが自己成長を促し、好循環をもたらす。気を付けなければいけないのは、単に理系だから数字に強いだろう、とか、Excelを使うのが得意だから分析もできるだろう、などと本人の意思とは関係のない会社側の思い込みで分析担当にアサインしてしまうことである。

 データサイエンティストは大きく2つに分類できる。一般的にイメージされるのが、下図左側の「エンジニア 系データサイエンティスト」だろう。だが、データドリブンな会社をつくる上で重要になるのは、左脳的な能力や機械的な処理も不可欠ではあるが、単なるデータ分析者ではなく、実業での課題を解決できる「ビジネス系 データサイエンティスト」だ。まさにこれが、特集第4回から説明を続けているように、シチズンデータサイエンティストに当たる。そして、このビジネス系データサイエンティストには、ビジネスにおける問題を発見する好奇心や、真実を明らかにしていこうとする探求心、そしてマネタイズを追求する強いビジネスマインドが求められる。興味のない社員をいくら集めて教育しても、苦痛を与えるだけで育成は難しい。逆にお手挙げ制で応募してきたモチベーションがある社員であれば、最低限の統計リテラシーなどを教育していくことで、自ら「さらに学ぼう」「こんなこともやってみよう」と能動的な自己成長が期待できる。

■ 図1)データサイエンティストは大きく分けて2パターンに分類
■ 図1)データサイエンティストは大きく分けて2パターンに分類
データドリブンな企業になるには、ビジネス系人材をいかに社内に増やすかが重要になる

ビジネス系かエンジニア系か 必要な人材を明確化しよう

 社内で公募をする際は、求めている人材がシチズンデータサイエンティストであることを明確に提示しておくべきだ。シチズンデータサイエンティストはあくまでもビジネスパーソンであり、エンジニア職ではない。数学ができること、プログラミングができること、特定の専門ツールが使えることなどのテクニカルなスキルを求めているわけではないことを、しっかり伝える必要がある。むしろこのようなスキルを列挙することは社員に応募を尻込みさせてしまい、逆効果になる。求めている人材像の提示を間違えることで、人材のミスマッチが起こり、せっかくアサイン、もしくは採用しても成果が出ないで終わるケースは、社内公募、外部からの採用いずれにおいても非常に多く発生している。

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