
小売り最大手のイオンも、植物肉市場への取り組みを拡大している。2020年10月からプライベートブランド(PB)「トップバリュ」で大豆由来のハンバーグなど植物性食品のシリーズを本格的に発売。消費者の多様性に応えるために、健康や環境に配慮した品ぞろえを強化する。
イオンは2020年10月から「トップバリュ Vegetive(ベジティブ)シリーズ」をイオン系のスーパー約2000店で販売した。その中核商品が、肉の代わりに大豆を使った「大豆からつくったハンバーグ」だ。
現時点で3商品を用意している。冷凍タイプの「大豆からつくったハンバーグ 柚子おろしソース」は、ハンバーグとソースが2個入りで税別298円。チルドタイプの「大豆からつくったハンバーグ バジル香るコク旨なトマトのソース」は、ハンバーグが1個入りで同298円。同様にチルドで「大豆からつくったハンバーグ 焦がし醤油香る玉ねぎソース」も同価格で販売している。いずれも原料には米国とカナダ産の大豆を使っている。
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イオンは20年9月末、ベジティブの発売を前にオンライン記者会見を開いた。その際にイオントップバリュ(千葉市)の和田浩二マーケティング本部長は、ベジティブ投入の狙いを「お客様のニーズは複雑だ。環境への貢献ニーズだけでなく、糖質制限による体重ケア、内なる美、さまざまなニーズが絡み合っていることに対応したい」と説明していた。
イオンが大豆由来のハンバーグの開発に着手したのは、19年初めに遡る。既に世界的な植物肉への関心は高まっていた。イオントップバリュの杉本浩也・畜産商品部長は「多様化する顧客に選択肢を増やしたかった。肉食は日本でも増えている。それでも週に1回くらいは通常の肉とは違うおいしい物を味わってもらえたら」と話す。そう意気込んで杉本氏らの活動が始まった。
「ここまで広がっているのか」
19年5月に米国のカリフォルニア州、ネバダ州に視察で訪れたスーパーで一様に驚いた。植物肉の専用コーナーがあり、冷凍食品売り場にもちゃんと並べられていた。「これなら日本でもいける」。その手応えとは裏腹に、実際の商品開発では困難の繰り返しだった。
肉らしい「ジューシーさ」の再現に悪戦苦闘
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