
将来予想される食糧難の時代に向け、急ピッチで開発が進む代替肉などの代替たんぱく源として、昆虫食が注目されている。既に、海外では昆虫を使った食品が続々と誕生。日本でも、無印良品を展開する良品計画がベンチャー企業と組んで「コオロギせんべい」を発売するなど、動きが活発化している。本格普及は目前だ。
次世代のたんぱく源として様々な「代替肉」の開発が進んでいるが、実は今、持続可能な食材として期待を集めているものがもう一つある。それは昆虫だ。
大きな転機になったのが、2013年5月に国連食糧農業機関(FAO)が公開した報告書。爆発的な人口増加による食糧難の解決策の一つとして、昆虫食が取り上げられた。世界の人口は50年までに90億人を突破し、既存の家畜の飼育システムでは賄うことはできず、危機的状況に陥ると警告。牛や豚、鶏などといった家畜の飼育には、大量の飼料と水、そして広大な土地が必要となるからだ。対して昆虫は、これらの家畜と同量のたんぱく質を生産するのに必要なエサの量が圧倒的に少なく、環境負荷の軽減も期待される。
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この報告書が後押しとなり、各国で昆虫の食用化の研究開発が加速。18年にはEUで食用昆虫の取引が自由化され、昆虫食を扱う食品メーカーも急成長を遂げるなど、産業化が進んでいる。
日本も海外に遅れているものの、いよいよ普及の兆しが出てきた。その象徴ともいえる出来事が、20年5月20日に起きた。無印良品を展開する良品計画が「コオロギせんべい」を同社ネットショップで先行発売したところ、初回販売分が即日完売。続く5月27日には再入荷されたものの、こちらもすぐに売り切れるほどの人気ぶりだ。
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