「自分が飲むビールはこれでなければダメだ」と思わせるマーケティングを展開するサッポロビール。「サッポロ生ビール黒ラベル」で成功した戦略を、2021年は「ヱビスビール」に持ち込む。豊富なバリエーションを設け、好みやタイミングに合わせて選べる自由度の高さで勝負するという。3月30日にサッポロビールの新社長に就く野瀬裕之氏が新たな挑戦を語った。

※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成

サッポロビール 取締役 常務執行役員 マーケティング本部長
野瀬裕之氏

1986年4月、サッポロビール入社。2013年3月、ブランド戦略部長、15年3月、サッポロホールディングス 取締役 戦略企画部長、19年3月、サッポロビール 取締役 常務執行役員 営業本部長、20年3月から現職。21年3月30日にサッポロビール社長に就任予定

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 サッポロビールは、消費者に熱狂的なファンになってもらうべく、「いちばん星マーケティング」を展開している。商品が持つ個性に共感してもらえるよう、背景にある物語をきちんと伝えて、「自分が飲むビールはこれでなければダメだ」と思っていただくのが狙いだ。

 「大人エレベーター」をテーマにしたCMで10年間にわたり、特に若年層の消費者に深く訴えかけた「サッポロ生ビール黒ラベル」は、その戦略がずばり当たった。「おいしくて、しかもかっこいい」と思う20〜30代のファンが増え、指名買いしてもらえるようになった。ブランドの若返りに成功したのだ。

 2021年は、この成功体験を「ヱビスビール」に持ち込む。20年に4年ぶりに缶の販売数量が前年を越え、復活の兆しが出てきたヱビスを成長路線に導く。

若いファンを取り込んだ黒ラベルの成功体験をヱビスに持ち込む
若いファンを取り込んだ黒ラベルの成功体験をヱビスに持ち込む

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