
ここ最近ヒットを飛ばし続けているの缶チューハイの分野だが、その歴史はまだ浅い。1984年に宝酒造が日本で初めて缶入りのチューハイ「タカラcanチューハイ」を発売。キリンやサントリー、サッポロ、アサヒなどの大手飲料メーカーがその後次々と参入し、一大市場が築かれた。変遷をたどると、現在に続くトレンドが見えてくる。
※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成
ヒット商品が毎年のように登場する缶チューハイの分野。サントリースピリッツの「こだわり酒場のレモンサワー」は、2019年3月に発売されると978万ケースを出荷。日本コカ・コーラはレモンサワーブランドで初のアルコール市場参入を果たした。しかし、缶チューハイの歴史はまだ浅い。宝酒造が日本で初めて缶入りのチューハイ「タカラcanチューハイ」を発売したのは1984年。その後、大手飲料メーカーが次々と参入したことで、一大市場が築かれた。
80年代の缶チューハイは、居酒屋で提供されるような焼酎割りが基本だったが、90年代前後には桃を人気フレーバーにした「ピーチツリーフィズ」など甘いカクテルも徐々に増加。そして市場拡大の大きな転換点となったのは2001年、キリンビール「キリン 氷結」の登場だ。缶チューハイは40~50代の男性が飲むものという意識がまだ根強く、パッケージもその層を狙ったものが多かった中、「女性が新幹線で飲んでも恥ずかしくない」をテーマに設計された商品だった。
氷結のために、新製法も誕生。果汁を搾汁後、現地ですぐに凍結して使用することで、これまでにないフレッシュさを楽しめるようになった。焼酎よりクセのないクリアウオッカを使ったことも男女ともに高評価を得て、缶チューハイ全体のユーザー拡大に貢献した。初年度には611万ケースを出荷し、20年には累計6億3000万ケースに到達。ロングセラーとして今も常に売り上げ上位を占めている。
氷結によって、2000年代は「果実感」がキーワードに上がり、キリングループではメルシャンも03年に果汁28%など果汁量が非常に多い「本搾り チューハイ」を発売。一方、サントリーも果物を丸ごと凍らせ、それをパウダー状にしてから酒に漬け込むという新製法で果皮からのうま味も入れ込んだ「-196℃」を05年に発売。約7カ月で742万ケースを達成した。

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