
ラガーとは醸造方法から味わいまで全く異なる「エール」にこだわり、ビール造りを続けるヤッホーブルーイング。代表商品の「よなよなエール」は、クラフトビールを広めたパイオニア的存在だ。新たなビールを開発するため、原料の自家栽培や、香りを科学的に分析するプロジェクトも始動した。
※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成
ホップやモルトの豊かな香りが感じられる「ペールエール」、よりホップの苦みを効かせた「IPA」、フルーティーで苦みが少ない「ホワイトエール」……。一口で日本のクラフトビールと言っても、特にここ数年、そのスタイルは味わいから見た目まで多様化している。
1994年にビールの製造免許取得基準が緩和され、各地に地ビールが登場。これが、今の日本のクラフトビール文化を導くことになる。ただ、ブランドは増えても、大手ビールの味わいに近いラガービールが大半だった。「日本のビール市場にバラエティーを提供し、新たなビール文化を創りたい」と97年に長野県で創業したのが、ヤッホーブルーイング。日本のクラフトビール市場を大きく変えたパイオニア的存在だ。
今も、ラガーとは醸造方法から味わいまで全く異なる「エール」にこだわって醸造を続ける。ヤッホーを代表する商品「よなよなエール」は、「ヤッホーの代名詞であるホップの香りを効かせながらも、きつくならないようにして麦芽の甘みやコクも出している」(ヤッホーブルーイング・製造部門責任者の森田正文氏)と言うように、クラフトビール初心者が飲みやすいのはもちろん、何度も飲みたくなるアメリカンペールエールだ。若い人向けにとローソンと共同開発し、軽快な味わいに仕上げた「僕ビール君ビール」も看板のヒット作となった。

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