世界から特に注目される日本の酒といえばウイスキーの「イチローズモルト」だ。生産量が少なくレア度は増す一方だったが、未来を見据えて蒸留所と貯蔵庫に大規模な投資をした。なぜ今なのか。製造元・ベンチャーウイスキーの創業者で社長の肥土伊知郎氏に狙いを聞いた。

※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成

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ベンチャーウイスキー 社長 肥土伊知郎氏
あくと・いちろう。1965年、埼玉県秩父市生まれ。実家は江戸時代創業の蔵元。サントリー勤務などを経て、2004年にベンチャーウイスキー設立。07年に秩父蒸留所が完成し翌年稼働開始。英国の「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」など受賞。

 世界からも注目される日本のウイスキー「イチローズモルト」。製造するのは、埼玉県秩父市で2004年に創業されたベンチャーウイスキーだ。20年11月に、イチローズモルト初の10年熟成シングルモルトウイスキー「秩父 ザ ファースト テン」を発売し、節目を迎えている。

イチローズモルト/秩父 ザ ファースト テン
イチローズモルト/秩父 ザ ファースト テン
実勢価格1万9800円(700ミリリットル・税込み)

 国際的な品評会では世界最高賞を連続受賞するなど評価は群を抜き、海外での人気も高い。ただ、生産量が少ないため、レア度は増す一方だ。ウイスキーは長く寝かせることにより初めて出荷が可能になる。そこで生産量を上げるため、新たに蒸留所と貯蔵庫を建設し、将来への布石を打った。今後、生産量が上がるとともにさらなる知名度と人気を獲得することが予想される。創業者である同社社長の肥土伊知郎氏にその狙いを聞いた。

——なぜ今、蒸留所と貯蔵庫に大規模な投資をしたのでしょうか。

肥土氏 ウイスキー造りは、昔に仕込んだ原酒が無ければ製品はできません。つまり、「造る」より「仕込む」方が圧倒的に重要です。だからこそ、19年に第2蒸留所を新設し、毎日1回蒸留器を稼働させ、様々な種類のたるに詰めて、バリエーション豊かな原酒造りに注力しています。供給量が十分でなく、商品によっては品薄になっている問題を解消する目的もあります。21年夏には新たに巨大貯蔵庫を本稼働させ、将来的には蒸留器は第1、第2ともに1日2回動かす体制を組み、原酒の蓄えをより増やしていきます。

第2蒸留所をフル回転させ、原酒の生産量は大幅増。21年8月には大容量貯蔵庫が完全稼働予定で、企業規模が一回り大きく“再生”する
第2蒸留所をフル回転させ、原酒の生産量は大幅増。21年8月には大容量貯蔵庫が完全稼働予定で、企業規模が一回り大きく“再生”する

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