
ここ数年の日本ワインで最も注目すべき地域の一つが、長野県の「千曲川ワインバレー」と呼ばれるエリアだ。ワイン用ブドウが獲れる地域と思われていなかったが、1人のブドウ栽培成功をきっかけに「千曲川ワインアカデミー」が設立。その卒業生が協力し合って、次々と新たなブドウ畑やワイナリーが生まれるという好循環が生まれている。
※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成
国産ブドウを日本で醸造した「日本ワイン」の勢いが止まらない。ワイナリー数は増加の一途で、2020年末の時点で390軒を数える(国税庁「日本ワイン産地マップ」や「酒類等製造免許の新規取得者名等一覧」などを基に調査)。特に増えたのが長野県と北海道だ。長野では、1990年代に12軒しかなかったワイナリーが約20年間で62軒に増加。これにより、県内の日本ワインの生産量もブドウの栽培面積も増えている。将来のワイン造りを視野に長野県に移住し、ブドウ園を開く人が後を絶たない。
一連の動きをけん引しているのが、千曲川流域の「千曲川ワインバレー」と呼ばれるエリア。長野県は2013年に「信州ワインバレー構想」を掲げ、「千曲川ワインバレー」「日本アルプスワインバレー」「桔梗ケ原ワインバレー」「天竜川ワインバレー」という県内4エリアのワイン産地化を後押ししている。千曲川ワインバレーは、その中で最も活気があり、29軒のワイナリーがひしめく。醸造所を自前で持たず、委託醸造するブドウ園のワインも含めれば、約100ブランドがこの千曲川流域から生まれているのだ。
これほどワイン造りが活発になったのはなぜか。確かに日照量の多さ、降水量の少なさ、夜温の低さ、さらには水はけの良さなど、このエリアにはワイン用ブドウ栽培の好条件がそろう。しかしそれ以上に、ワインの造り手たちを支援する仕組みができつつあることが大きい。
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