
醸造家であるブルワーが、手塩にかけて造るクラフトビール。全国に商品を流通させる有名ブルワリーでも、その多くが定番ラインアップの他に少量で限定醸造したビールを発売している。「志賀高原ビール」を手掛ける玉村本店は、ウイスキーブランドや他のブルワリーなどとのコラボを推進。従来のクラフトビールの枠を超えたプレミアムな一品は、最新トレンドを知るうえで欠かせない。
※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成
ブルワリーが定番ラインアップの他に少量限定で醸造する、個性的なクラフトビールへの注目度が年々高まっている。限定醸造では、2つのブルワリーがノウハウを持ち寄って造るコラボ商品も増えている。中には、ウイスキーだるで熟成させたり、日本酒の原料を使ったりと、ビールの枠を超えた驚きのコラボが生まれている。生産量に限りのある、プレミアムな“異酒コラボ”を果たしたクラフトビールは、絶対に知っておくべきトレンドだ。
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【第5回】 大手ビール4社開発者の異例座談会 ライバルの味をどう見てる?
【第6回】 志賀高原ビール×イチローズモルト 注目の“異酒コラボ”を追う←今回はココ
中でも必見なのは、日本酒の老舗蔵元・玉村本店が手掛ける日本を代表するクラフトビール「志賀高原ビール」と、埼玉県秩父市のウイスキーブランド「イチローズモルト」とのコラボ。大人気の1本が、「THE FAR EAST / Barrel Aged Imperial House IPA」だ。イチローズモルトのたるで長期熟成されたバレルエイジド・トリプルIPAは、“異酒”の第一人者による至高のコラボと呼ぶにふさわしい。2020年末に発売した第7弾は、イチローズモルトのたるで60カ月、44カ月、37カ月、30カ月、23カ月の5種で熟成された、12たるのブレンドで造られている。
飲んでみると、口いっぱいに芳醇な味わいが広がり、アルコール度数15%らしい濃厚な飲み応えだった。原料のホップをふんだんに使い、その香りや苦みを際立たせたIPA特有の強い“ビール感”の中に、味わいや後味にウイスキーだるの風味も感じられる絶妙な組み合わせだ。さらにフルーティーな甘みと柑橘感もあり、高いアルコール度数の割に飲みづらさは感じなかった。
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