
リモートワークの広がりで、都心に住む必要性が失われつつある。このまま東京に居続けるべきか否か? 住むなら「郊外」か「地方」か? 日経クロストレンドでは東京23区に住む20~50代の男女1000人にアンケートを実施。その結果を、東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の井出武氏による解説とともに紹介していく。第1回は移住希望者の割合や新型コロナの影響についてリポートする。
東京に居続ける必要は、もはやないのではないか。新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの働き方は180度変わった。リモートワークが急速に広がり、毎日の出社と忌まわしき満員電車から解放されると、次に気づくのが、居住費も物価も高い東京に住み続けることへの疑問だ。
報道などでも、郊外や地方に移り住んだ人の体験談などを見る機会が増えた。自治体側にも、コロナ禍を奇貨として都市部からの移住受け入れの動きが広がっている。
果たして首都圏への一極集中は逆回転をし始めるのか。検証すべく、日経クロストレンド編集部では2021年1月29日~2月1日、東京23区に住む20代~50代の男女1000人(20代200人、30代300人、40代300人、50代200人)にアンケートを実施。郊外や地方への移住希望の有無や、新型コロナの影響などを尋ねた。「移り住みたい街ランキング 2021年度版」を3回にわたって解説していく。アンケートでは、「郊外」は東京23区外の都心通勤圏、「地方」は都心通勤圏外として質問を行った。
まず「郊外」または「地方」への移住希望について、近い考えを質問した結果が以下の通りだ。
「当分は東京23区から離れる考えはない」と回答した人が693人と、7割に迫る勢い。一方、数年以内ないしは中長期的に「郊外」に移り住みたいと考えている人は157人、同じく数年以内ないしは中長期的に「地方」に移り住みたい人は150人。郊外と地方は、ほぼイーブンの結果だった。
何らかの形で東京23区から移り住みたいと考えている人が約3割。この数字を大きいと見るか、小さいと見るか。東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の井出武氏は、「率直に多いという印象を受けた」と語る。
その理由は、コロナ禍にあった20年のデータにある。井出氏は新型コロナによる不動産市場へのインパクトを調査しているが、「データ上、新型コロナの影響は全くといっていいほど出ていなかった」と言う。もちろん、恒常的なリモートワークを決定した企業に勤める人など、既に郊外や地方に転居した人もいる。だがこういった個々の動きは、データ上で全く確認できないレベルで微少だったということになる。
3割という結果は、今はインパクトとしては微細だが、決して小さくない数字のため、これから徐々に実際の動きとして出てくるのではないかと井出氏は推測する。
「3割の正体」は誰なのか?
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