デザイン経営 成功への道

「デザイン経営」の推進を支援するため、特許庁は意匠法を改正。2020年4月1日から建築物や内装、画像の意匠を新たな保護対象とした。模倣を防止し、デザインによるイノベーションの促進とブランドの構築を知的財産の面からサポートするためだ。改正に伴い、積極的に出願する企業も出てきた。

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くら寿司「浅草ROX店」の内部。店内に支柱や屋根からなる「やぐら」を組み、その下にカウンターやテーブル、椅子、パーティション、回転寿司の搬送装置をバランスよく配置した。やぐらによる木の味わいがある(写真/丸毛 透)
くら寿司「浅草ROX店」の内部。店内に支柱や屋根からなる「やぐら」を組み、その下にカウンターやテーブル、椅子、パーティション、回転寿司の搬送装置をバランスよく配置した。やぐらによる木の味わいがある(写真/丸毛 透)
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 2020年11月以降、さまざまな企業の意匠が新たに登録されている。いずれもイノベーションやブランドを重視し、他社との違いをアピールしている。

 内装で意匠登録されたのは、くら寿司だ。20年1月にオープンしたグローバル旗艦店「浅草ROX店」が対象となった。支柱や屋根による「やぐら」を組むなど日本の祭りをテーマに、木のぬくもりを感じるようにしたという。旗艦店として新しい食事空間を演出することで、今までにない体験価値をつくり、回転寿司の新たな姿を示した。そうした自負もあり出願に踏み切ったという。特に、やぐらの木の組み方に独創性があり、そこをポイントとして打ち出した。今回、江戸文字を活用したロゴも開発している。店内は祭りのようなイメージだ。クリエイティブディレクターとして佐藤可士和氏が参加した。

 「21年春には、グローバル旗艦店の2号店を大阪にオープンする予定。浅草ROX店とは違ったテーマで進めている。通常の店舗でも、くら寿司ならではの体験価値を創出するため、今後とも空間演出を意識した店舗の外観や内装に力を入れていく」(くら寿司執行役員管理本部本部長の久保田善行氏)

くら寿司
くら寿司は内装のデザインを意匠登録した。意匠登録第1671153号「回転寿司店の内装」
くら寿司は内装のデザインを意匠登録した。意匠登録第1671153号「回転寿司店の内装」
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新しいロゴには江戸文字を使い、浅草らしさを打ち出している
新しいロゴには江戸文字を使い、浅草らしさを打ち出している
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「お祭り」をテーマにしているため、「お面」を壁に飾ることで、独特な雰囲気をつくっている
「お祭り」をテーマにしているため、「お面」を壁に飾ることで、独特な雰囲気をつくっている
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従業員の制服も刷新した
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店舗内にある射的のコーナー。お祭りのにぎわい感があり、楽しくなりそうだ
店舗内にある射的のコーナー。お祭りのにぎわい感があり、楽しくなりそうだ
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(写真/丸毛 透)

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