デザイン経営 成功への道

デザイン経営の時代になると、デザイナーにもクライアントと同様のビジネススキルが要求されるようになるだろう。では、どうやってビジネススキルを身につければいいのか、デザイナーも貸借対照表や損益計算書を読み、キャッシュフローを理解すればいいのか。

今回のポイント

まず自社におけるビジネスの流れを学ぶことから始める

前回(第7回)はこちら

 こんなとき、デザイン会社のエイトブランディングデザイン(東京・港)の事例が参考になりそうだ。同社はブランディングデザインを手掛けており、社内のデザイナーにビジネススキルを勉強させている。

 その手法が一般的な経営コンサルティング会社とは大きく異なり、非常に実践的かつユニークなアプローチといえるからだ。

 同社の強みは、社長でありデザイナーの西澤明洋氏が自らの経験からまとめた「フォーカスRPCD®」と呼ばれる独自手法にある。クライアントと共に経営課題を洗い出し、コンセプトからデザインまで一気通貫で推進するが、ビジネスの流れを知らなければスムーズに運ばないだろう。

「フォーカスRPCD®」と呼ばれる独自手法を活用し、リサーチからプランニング、コンセプト開発、デザインまで含めた、一貫性のあるブランディングデザインを行っている。このサイクルをらせん状に回すことでブランドを育成していく。図は西澤明洋氏の最新刊『ブランディングデザインの教科書』(パイ インターナショナル)より
「フォーカスRPCD®」と呼ばれる独自手法を活用し、リサーチからプランニング、コンセプト開発、デザインまで含めた、一貫性のあるブランディングデザインを行っている。このサイクルをらせん状に回すことでブランドを育成していく。図は西澤明洋氏の最新刊『ブランディングデザインの教科書』(パイ インターナショナル)より

自社のビジネスモデルを徹底理解

 そこでまずデザイナーに、自社の業務の流れや仕組みを徹底的に理解させようとしている。社内向けのサイトを見ると、例えば顧客から受注した後に、社内でどの部門がどう動き、それが最終的にどのように売り上げに結び付くのかを、図と文字で詳細に記述してある。総務や広報、経理といったバックヤード部門の動きまで書いてある。業務の流れをすべて明確にし、言語化していることで、デザイナーは自社のビジネスはどう動いているのかが具体的に分かる。

 これをクライアントと比較すれば、ビジネスの流れをすぐにイメージできるから、デザイナーもクライアントも共通言語で会話することができるのだ。同社はこれを「仕事の因数分解」と呼んでいる。ビジネスとは何かを細かく因数分解すれば、現実的な姿が見えてくる。

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