デザイン経営 成功への道

「カリモク60(カリモクロクマル)」は、2002年に家具大手のカリモク家具(愛知県東浦町)がD&DEPARTMENT(東京・世田谷)と協業して立ち上げた家具ブランドだ。カリモク家具が1962年に初めて生産した国内向けのオリジナルのアームチェア「Kチェア」を原点商品と位置付け、普遍的な商品を健やかに作り続け、売り続けていく「ロングライフデザイン」をテーマにブランディングを行っている。

D&DEPARTMENT富山店のカフェスペースでは、カリモク60のロビーチェアを使用している
D&DEPARTMENT富山店のカフェスペースでは、カリモク60のロビーチェアを使用している
今回のポイント

互いに尊重しつつ納得するまで意見を擦り合わせる

前回(第6回)はこちら

 カリモク60のブランディングのディレクションを担当しているのは、やはりロングライフデザインを追求しているD&DEPARTMENT代表のナガオカケンメイ氏だ。

 Kチェアは一時廃番寸前の商品だったが、ナガオカ氏が「普遍的なデザイン」と見立て、2000年からD&DEPARTMENTで販売を開始。それが話題となり、カリモク60というブランドの立ち上げにつながった。

カリモク60のメイン商品「Kチェア1シーター」。組み立て式で、パーツは交換できる。Kチェアと名付けたのは、ナガオカケンメイ氏。それまではWS1150番という型番で呼ばれていた
カリモク60のメイン商品「Kチェア1シーター」。組み立て式で、パーツは交換できる。Kチェアと名付けたのは、ナガオカケンメイ氏。それまではWS1150番という型番で呼ばれていた

 発売から20年たった現在も、売れ行きは堅調だ。19年度の出荷額は約12億円で、前年比14%増。18年度からAmazonに出店し、若い世代の認知を高めることに成功した。「Amazonが広告のような役割を果たし、販売店や直営店の売り上げも伸長している」と話すのは、カリモク60ブランドの立ち上げから参画しているカリモク家具 営業推進部 常務取締役の山田郁二氏。

カリモク60の出荷額の推移
カリモク60の出荷額の推移
2002~10年度は販売店を開拓し、限定商品なども発売。06年にはららぽーと豊洲に直営店を開業。16~18年度が低迷していた時期。このとき若者の認知低下に気づき、18年度からAmazonに出店した(出所/カリモク家具)

 ブランド立ち上げ前から毎月1回開催している定例会も20年間継続しており、「カリモク60に関わる人たちは、親戚みたいな存在」とナガオカ氏は言う。これほど長い期間、良好な関係を築きながらブランディングが続いている。その要因は何か。

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