
リノベーションなどの事業を手掛けるLOOPLACE(ループレイス、東京・千代田)は、それからデザイン(東京・渋谷)に依頼し、2020年1月に社名やロゴの変更などデザインを活用したリブランディングを行った。デザインが出来上がるまでのプロセスを、それからデザインが最初から最後まで公開したこともあって、満足できる結果を得られた。
クライアントの課題
理想とする事業と現状の在り方にギャップがあった
デザイナーの役割
事業の再整理と理念の見直しにより社名変更などをサポート
「旧社名の成和から今回、ループレイスに社名を変更するに当たり、自分たちがデザインの作業に参画しているように感じた」とループレイスの飯田泰敬社長は言う。
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一般的なデザイン会社の多くは、クライアントからヒアリングを重ねても、アウトプットが出来上がるまでのプロセスは“ブラックボックス”に近いだろう。クライアントが判断しようにも、そのデザインがなぜ出来上がったのかが分からなければ戸惑うだけだ。
デザインの大切さを理解
ループレイスの事業は、大きく2つがある。1つは、大手企業やゼネコンから受託する設計と施工。もう1つは、2016年からスタートした不動産再生事業だ。不動産再生事業とは、現在は役目を終えている建物に改修工事や補修工事などを施し、その価値を再生させること。同社では建物の企画および設計デザイン、施工から施工後の運営、入居者やテナントの募集までをトータルでプロデュースしている。株式上場を目指すため、今後は不動産再生事業を主軸に活動していこうと考えている。そこで社名やロゴを変えようとした。
経営コンサルティング会社ではなくデザイン会社と組んだ理由の1つは、不動産再生事業ではデザインが重要になるためだ。ビルの外装や内装だけをデザインするのではなく、見せ方や伝え方を含めたデザインを行い、建物の価値を上げていく。社内にもデザイナーを抱えており、デザインの大切さを自然と理解していた。
それからデザインを選んだのは、佐野彰彦社長が古い空間をリノベーションしてコワーキングスペースを開発した運営事業の経験者だったから。互いに不動産再生事業に理解があり、共通言語で会話できると考えた。
プロジェクトの中心メンバーは、それからデザインの佐野氏とループレイスの飯田氏に加え、各部門のリーダーおよび主要メンバー6人。プロジェクトは大きく6つのステップを踏んでおり、最初は全社員に対するアンケートを行った。アンケートでは、各社員が考える会社の長所や弱点、これからどんなことをやってみたいか、入社の経緯などを質問し、社内実態を把握しようとした。
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