
デザイナーとクライアントが、どうコミュニケーションを取ればいいのか。外部のデザイナーはインハウスのデザイナーとは異なり、社員ではない。クライアントの横に常にいるわけではないので、何か起こったとき、すぐには相談しにくいだろう。では、どうすべきか。こうした場合に対する、格好の事例が鈴廣蒲鉾本店(神奈川県小田原市、鈴廣かまぼこ)だ。
クライアントの課題
老舗企業として伝統を守りつつ挑戦したい
デザイナーの役割
さまざまな点に気を配りデザインの方向性を守る
かまぼこの老舗として知られる同社は、商品のパッケージから店舗、宣伝やパンフレットまで、一貫した世界観のデザインを打ち出している。そのぶれないブランディングの背景には、毎月開催する「BBBOX」と呼ぶ会議があった。BBBOXの場でデザイナーとクライアントの目線を定期的に合わせているからだ。
参加者は、経営幹部やインハウスのデザイナーの他、外部のデザイナーとして型染め作家の森川章二氏と鈴木結美子氏、カメラマンやライターなど合計9人。毎回3時間ほど「鈴廣かまぼこらしいデザインとは何か」について徹底的に議論する場になっている。
【第2回】 世界観のベースは定期会議 鈴廣かまぼこのデザイン経営 ←今回はココ
【第3回】 河合塾の新規事業 デザイナーはパートナー、売り方まで考える
【第4回】 「もう契約更新しない」 デザイナーに突き放された経営者の覚醒
【第5回】 全社員巻き込みリブランディング 企業の存在意義から見直す
同社は長年、型染めをデザインの軸にしている。かまぼこ作りと型染めの制作には共通点が多く、同社のものづくりへの姿勢を型染めがうまく表現しているからだという。キャラクターをテーマにしたかまぼこでさえ、型染めによるパッケージを採用。デザインには常に鈴廣らしい姿勢が伴う。
「BBBOXは“ブレイン・ブレンド・ボックス”の略。いわば互いの脳みそを混ぜる、アイデアや思考を混ぜるという意味で名付けた」と鈴廣蒲鉾本店の常務取締役、鈴木智博氏はいう。
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