初のオンライン開催となった「CES 2021」。重要なテーマとしてモビリティーやスマートシティーが掲げられており、基調講演として米ゼネラル・モーターズ(GM)が電動化のビジョンを示したこと以外にも複数の展示があった。それら新動向をMaaS Tech Japanの渡邊徹志CTO(最高技術責任者)が分析する。
2018年あたりのCESからモビリティー関係の展示は急速に増えてきた。今やCESの展示が以後のモビリティーの方向性を決定すると言っても過言ではないと考えている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、CES 2021はオンライン開催となった。20年のトヨタのような国内企業からの大きな発表はなかったとはいえ、モビリティーとそれに伴うスマートシティーの進化が重要トピックであることは変わりない。
オンライン展示のメリットの1つは、Web上で展示内容がすべてインデックス化されて検索できることである。試しにCES会場のWebサイトで「Mobility」というキーワードを入力すると125件、「Smart City」は26件がヒットした。さらに関連する言葉として「Autonomous Vehicle(自動運転車)」は11件、「LiDAR(ライダー、レーザーを使ったセンサー)」は51件といった具合だ。
コンテンツ内容にキーワードが含まれているだけでヒットしてしまうため、実際にはそのものの展示ではない可能性もあるが、21年も引き続きスマートモビリティー/シティー関連の技術やサービスが大きな注目を集めていることは間違いない。
スマートモビリティーやスマートシティーを実現させるための要素としては「センシング」「データマネジメント」「アクチュエーション(動かすための制御)」の3つが重要である。端的に言えば、都市の状態を観測し、その観測値を保持し、保持した観測値を用いて都市に働きかけを行う、というものである。
この中で、センシングに関しては5Gの展開、LiDARの一般化、カメラ画質の向上ならびにAI(人工知能)を用いた状態推定などが、20年までのCESの内容で実用的になったと筆者は感じている。今後必要となるコンポーネントの開発としては、データマネジメントおよびアクチュエーションにシフトすると考えている。まずは都市のデータマネジメントにフォーカスして、CESで見ることができた展示を紹介していこう。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー