2021年1月11日から開催となった世界最大のデジタル見本市「CES」では5Gが注目テーマの1つ。5Gの高速大容量・低遅延・多接続という特徴を生かす具体的な活用法は、まだ未成熟という状態が続く。それでも今回のCESを通した発表では、5G時代に向けたデバイスの進化の芽をいくつか見ることができた。

韓国LG電子が見せた巻き取り式ディスプレーを搭載したスマホ「LG Rollable」
韓国LG電子が見せた巻き取り式ディスプレーを搭載したスマホ「LG Rollable」

インフラ整備途上で具体性を欠く5Gの活用事例

 2021年はオンラインでの開催となった「CES」だが、ここ数年の重点テーマの1つが「5G」である。日本では20年に商用サービスを開始している5Gは、次世代のさまざまな技術を支え、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するためのインフラになり得る存在として、ここ数年来大きな注目を集めてきた。

 今回のCESでは、初日の基調講演に米携帯電話最大手ベライゾン・コミュニケーションズのハンス・ベストバーグCEO(最高経営責任者)が登壇し、5Gの可能性について語ったことも、5Gに対する期待の大きさを示しているといえるだろう。

「CES 2021」初日の基調講演には、米ベライゾン・コミュニケーションズCEOのハンス・ベストバーグ氏が登壇するなど、5Gを強く意識した構成となっていた
「CES 2021」初日の基調講演には、米ベライゾン・コミュニケーションズCEOのハンス・ベストバーグ氏が登壇するなど、5Gを強く意識した構成となっていた

 ただ、CES全体を通して見た場合、5Gに関する発表や展示が見られたかというと、残念ながらそうではないというのが正直な所だ。いくつかの講演ではスタジアムや製造業、教育などに5Gを活用する取り組みについて語られたが、その多くは既に日本でも取り組みが進められているもので、具体性に欠けるものも少なくなかった。

 5Gデバイスの象徴でもあるスマートフォンに関しても、CESではあまり存在感が高いとは言えない。なにしろ、スマホ最大手の韓国サムスン電子がCES開催中の米国時間1月14日に、CESとは別の形でスマホ新製品発表イベント「Galaxy Unpacked 2021」を実施するほどだ。

サムスン電子はCES期間中の1月14日(米国時間)に、CESではなく独自でスマホ新機種の発表イベント「Galaxy Unpacked」を実施した
サムスン電子はCES期間中の1月14日(米国時間)に、CESではなく独自でスマホ新機種の発表イベント「Galaxy Unpacked」を実施した

 世界中で5Gへの期待が高い状況は続いているものの、具体的な5G活用は模索が続いているというのが現状のようだ。CESが開催された米国でも、5Gの商用サービス開始は日本より早かったとはいえ、エリアの面展開を本格化するのは21年からとなるようだ。5Gの機能をフル活用できるスタンドアローン(関連記事)運用への移行もこれからの段階であるなど、まだ5Gを本格活用できる土壌が整っていないことも影響しているかもしれない。

パソコンにも5G、スマホは「ローラブル」に

 5Gの活用を広げるデバイスという側面で見た場合、CESではいくつか注目される要素が見られた。その1つは5G対応パソコンの急増である。

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