オンライン開催中の「CES」に出展しているNTTは、米国時間2021年1月12日にレーシングドライバーの佐藤琢磨氏を起用した講演イベントを実施。同社が研究開発を進めている光技術を活用した「IOWN(アイオン)」構想をアピールするとともに、withコロナ時代に通信網を通して目指す変革の姿を示した。
“光”の活用でネットワーク技術のゲームチェンジャーに
20年にはNTTドコモを完全子会社すると発表し、大きな話題となったNTT持ち株会社。20年に続いて21年のCESにも出展し、同社が現在注力している「IOWN構想」をアピールしている。IOWN構想とは、光通信・クラウド・エッジコンピューティングなどを包括し、社会に多彩なサービスを生み出すための基盤をつくるための方針のこと。24年までに仕様を確定し、30年の実現を目指す。
「IOWN構想によって超高速通信やデジタルツインなどが実現することで、オンライン授業や遠隔医療、スマート農業などが今までとは違う次元で実現できる」。そう説明したのは、オンラインイベントで案内役を務めたレーシングドライバーの佐藤琢磨氏だ。佐藤氏は、NTTが冠スポンサーを務めるインディカー・シリーズに参戦し、20年には、インディアナポリス500マイル(インディ500)で2度目の優勝を果たしている。
NTT社長の澤田純氏は「世界のIPトラフィックは2年後に1.5倍、世界のIT企業における消費電力は1.6倍に膨らむ」と予想を示し、増え続けるトラフィックと今後厳しさが増す環境問題に対応するべく、IOWN構想で高度な光ファイバー技術を生かした網を構築すると説明した。
その活用事例として、澤田氏はメジャーリーグの試合観戦を挙げた。現在のコロナ禍の状況では全ての人がスタジアムで試合観戦をすることはできない。そこでオールフォトニクス・ネットワークによる大容量通信でパブリックビューイング会場や自宅などに遅延のないリアルタイムの試合映像を配信し、その歓声などをリアルタイムで会場にフィードバックする。離れた場所からでも、一体感のある双方向リアルタイム視聴体験を生み出せる。「ポストコロナの世界では、もはや試合を見るために1つの場所に行く必要はない」と澤田氏は話す。
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