
YouTubeをマーケティングに活用する手立ての1つとして、「動画版『中の人』」とも言える社員YouTuberを起用する企業が徐々に出始めている。その代表的な1社が人材会社のエン・ジャパン。広報部員が社内タレントとしてMCを務めるYouTube社内報を一般公開し、社内外で話題になっている。
「いやー、すっかり寒くなりましたね~。さあ、今週も始まりました、しみねーの Welcome エン・ジャパン! それでは早速本日のゲストをお呼びしましょう……」
こんな軽快なノリで始まるYouTube動画を毎週配信しているのが、求人・求職情報や人材紹介サービスを提供するエン・ジャパン。同社が運営するYouTube社内報「しみねーのWelcome エン・ジャパン」は、2019年11月の開設以来、配信動画本数は70本超。再生回数はトータルで6万8000回に達している。
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番組進行役(MC)は、「しみねー」こと同社ブランド企画室広報の清水朋之氏。毎週、社内からゲストを招いて同社で働く社員の紹介を通じて、社内のさまざまな職種・仕事内容、キャリアの積み方を発信している。20年9月、社内広報支援のウィズワークス(東京・新宿)が主催する「社内報アワード2020」ではシルバー賞も受賞した。清水氏は、「新型コロナウイルス感染対策として社員の出勤比率を3割に抑え、顔を合わせる機会が減ったこの1年、各部署の社員をゲストに呼んで明るくポップな対談スタイルの動画を配信したことで、社員の不安な気持ちの払拭に貢献できたと思う」と胸を張る。
収録場所は社内の会議室。スマートフォンで手軽に済ませることが多い。コロナ禍では清水氏とゲスト社員が双方自宅からオンライン対談し、編集、配信する回も多かった。動画編集は、社内のクリエイティブチームに所属するメンバーが担当している。
同チャンネルは、社内報の動画版であるだけでなく、YouTubeで誰もが視聴できる“公開動画社内報”だ。通常は紙の冊子、または社内イントラネット上にある社内報を、なぜ動画で? なぜ社外にも?……そこにはちょっとした歴史がある。
同社の社内報も、他社と同じく社内限定の冊子から始まった。06年から紙の社内報の制作を始め、やがて社内イントラネットに移行。社員インタビューや社内イベントのリポート記事などを載せていた。このコンテンツに対し、主に記事に載った社員から、「家族にも見せたい」「SNSでシェアしちゃ駄目ですか?」といった問い合わせが寄せられるようになった。制作に携わる広報メンバーが話し合った結果、社外秘コンテンツはほとんどなく、むしろエン・ジャパンという会社を知ってもらうよい場にできるとの考えから、2015年7月、公開版社内報「en soku!(エンソク)」を開設。企業広報ブログスタイルで、現在も毎日更新を続けている。
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