
YouTubeマーケティングの先進事例を紹介する本特集。今回はYouTube広告をうまく活用し、CPA(Cost per Acquisition:顧客獲得単価)を約半分に引き下げたマウスコンピューターの活動を紹介しよう。YouTubeにはたくさんの広告メニューが用意されており、動画の再生前などに表示できる。同社がどのような広告をどのようなメニューで配信しているか具体的に解説する。
マウスコンピューターがYouTube上で実施しているマーケティング活動のキーワードは「フルファネル」だ。フルファネルの詳しい意味は後述するが、同社は2019年11月、CMキャラクターの乃木坂46の動画を使って初めてフルファネル施策に挑戦した。それまで存在しなかった製品のスペックや特徴を具体的に訴求する動画を新たに加えて広告を配信し、自社キャンペーンサイトへの誘導を図った。
その結果、「マウスコンピューター」などで検索する人が増え、検索広告(リスティング広告)のCPA(Cost per Acquisition:顧客獲得単価)が約半分になったという。Windows 7のサポート終了による買い替えニーズの広がりという要因もあったが、それを考慮しても、このときのYouTube上でのフルファネル施策は非常に効果的だった。このため同社は、その後もフルファネル施策を継続している。
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「ファネル」とは、購入に至るまでの消費者の心理的な状態を段階別に表したもので、一般的に消費者は下図の順番で購入に至ると考えられている。当然、「認知」しても「興味・関心」に移行しない消費者もいるので、その形は逆三角形(=漏斗:ファネル)になるわけだ。
フルファネルとは、YouTube上ですべての段階(=ファネル層)の消費者に対して全方位で広告を配信することを意味する。つまりマウスコンピューターは19年11月から、同社を知らない人から購入を検討している人まで、すべての消費者に対して動画広告を配信し始めたのだ。
それまでは、ファネルの最上部に当たる「認知」の拡大をまず目指してきた。16年2月に歌舞伎役者の中村獅童を起用したユニークなテレビCMで世の中への認知を拡大。ほぼ同時期にYouTube上でも認知拡大を目的に動画広告を配信し始めた。その後、16年11月にCMキャラクターを乃木坂46の人気メンバーに代えた後も、テレビCMはもちろんYouTube上でも、同社の認知を広げるため、動画広告を配信してきた。
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