
「ZOZOSUIT」は着用して写真を撮るだけで、全身が採寸できることで大きな話題を呼んだ。アパレルの新時代を予見させる取り組みとして脚光を浴びたものの、採寸データを基にしたPB(プライベートブランド)は想定の売り上げを大きく下回った。だが、ZOZOは2020年10月に「ZOZOSUIT 2」を発表し、再挑戦する意気込みを見せた。初代ZOZOSUITの失敗理由と事業転換の全貌をZOZOの取締役COO(最高執行責任者)伊藤正裕氏が明かした。
<前回(第3回)はこちら>【第2回】 2事業で100億円へ 三越伊勢丹DXの肝は「自前の高速PDCA」
【第3回】 アマゾン、楽天を抜いたマーケ戦略 顧客分析の限界を乗り越えたcotta
【第4回】今明かされるZOZOのPB失敗の全貌 経験生かし「ZOZOSUIT 2」開発 ←今回はココ
18年10月31日、スタートトゥデイからZOZOへと社名変更をして初の決算発表の場で、前社長の前澤友作氏は釈明に追われていた。その対象はZOZOSUITだ。年間で1000万枚を配布し、PB事業の垂直立ち上げを狙うとぶち上げた。ところが、その売り上げは想定とは程遠いものだった。
採寸データを基にしたビジネススーツは配送が遅れ、納品実績は売り上げ目標の15億円を大きく下回る5億4000万円にとどまった。PBの不調を受け、前澤氏はZOZOSUITでの採寸を前提とした販売を改め、採寸不要で身長や体重を登録するだけで購入可能にするなど大幅な変更を発表。さらにZOZOSUITを廃止する方針を明らかにした。その後、PB事業は125億円の赤字を計上し、大幅な縮小を迫られた。
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