「iDeCo」と「NISA」でよくある誤解と、その正解。後編では、さらに9つの例を紹介する。「投資開始はまとまったお金ができてから?」「iDeCo口座はすぐに開設できる?」「60歳に近かったらiDeCoはもう遅い?」など。正しい知識をインプットし、両制度のメリットを最大限に生かしたい。
※日経トレンディ2021年2月号の記事を再構成

<前回(第17回)/iDeCo&NISA 初心者がしやすい誤解とその正解を総まとめ【前編】はこちら>
【誤解】すでにNISAを使っているのでiDeCoは使わない
⇒【正解】所得税を払っているなら、使わないと“損”
iDeCoには掛け金が全額所得控除される節税メリットがあり、極論すれば預金に入れているだけでも得になる。年間の拠出限度額が14万4000円と最も少ない、勤務先にDB(確定給付企業年金)がある会社員や公務員の場合でも、年収500万円(課税所得約160万円、所得税・住民税の税率計約15%)なら年2万1600円の節税になる。NISAだけを使っている人も、iDeCoへの加入を直ちに検討したい。
【誤解】まとまった資金ができてからと投資開始を先延ばしにする
⇒【正解】少額からでも、なるべく早く始めるのが良策
「投資するのはまとまった資金ができてから」と構えてしまう人もいるだろうが、実はこれは間違い。優先して検討したいiDeCoは、月5000円からの拠出で制度を利用できる。5000円を毎月積み立てた場合でも、30年続ければ掛け金は累計180万円に上り、運用利回り次第で上表のように資金を増やせる。加えて、掛け金の所得控除による節税効果も得られる。経済コラムニストの大江英樹氏は「月5000円からでもいいので、なるべく早く加入するのが理想」と語る。拠出限度額の範囲内で、途中で掛け金を増やしてもよい。
【誤解】いつでも引き出せるNISAの方が使い勝手に優れる
⇒【正解】運用中に投資商品を変更できるiDeCoの利点に注目
iDeCoは原則60歳まで引き出せないが、運用の途中で投資商品を変更できるのが大きな利点だ。例えば、株式と債券という異なるカテゴリーの投信に分散投資し、相場の変動によって値上がりや値下がりで当初のバランスが崩れたとしても、割合が増えた方を売り、減った方を買うことで当初のバランスに戻すことができる(上図)。「頻繁でなくてよいが、数年に1度あるいは投資割合に10%以上の乖離が生じた時に見直せばよい」(大江氏)。NISAはいつでも引き出せる利点がある半面、一度売却した分の投資枠は再利用できないので、こうした機動的なリバランスはできない。
【誤解】思い立ったらすぐにiDeCo口座を開設できる
⇒【正解】積み立て開始までには約2カ月かかることも
多くの証券会社は、申し込みから数日〜1週間で証券口座を開設できる。iDeCoの専用口座も似たようなものと思いがちだが、ややハードルが高い。利用する金融機関を決めてまず資料を取り寄せ、必要事項を記入した申込書を返送する。それから口座開設までに約1カ月、さらに積み立て開始まで約1カ月かかるケースもあり、意外に時間を要する。21年には申し込みが電子化され、所要時間が多少短くなる見通しだ。
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