老後を見据えた資産形成の強い味方が、「iDeCo」と「NISA」だ。共に税制面でメリットが大きい投資制度だが、「なんだか難しそう」と二の足を踏む初心者も多い。初心者が誤解しやすい事例とその正解を示しながら、上手な活用の方法を2回に分けて紹介する。

※日経トレンディ2021年2月号の記事を再構成

前回(第16回)はこちら

 投資をする上で欠かせない視点が、老後を見据えた長期の資産形成。その強い味方になる制度が、投資信託などを長期にわたって積み立て、運用益非課税などのメリットが受けられる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。

 iDeCoの掛け金は全額が所得控除の対象になるため、節税メリットも大きい。2017年1月から現役世代のほぼすべての人が対象になったことで加入者は増えたが、20年10月時点の利用者数は約175万人。確実に得する方法なのに、まだ普及したとはいえない。

 経済コラムニストの大江英樹氏は、「最低掛金額の月5000円分でも家計に余裕があるなら、すぐに加入を検討するべき」と言う。拠出限度額は、勤務先にDB(確定給付企業年金)がある会社員や公務員なら年14万4000円、企業年金がない会社員なら年27万6000円、自営業者なら年81万6000円などと異なる。積み立てた資産は原則60歳になるまで引き出せない。

 所得控除のメリットは無いが、同様に運用益が非課税になるのが、14年に始まった「NISA(少額投資非課税制度)」。年120万円までと投資枠が大きく、非課税期間は最長5年間。個別株やETF(上場投信)も買えるなど、投資対象が広い。

 一方、長期の積み立て投資に向く「つみたてNISA」もある。投資対象は一部の投信に限られ、投資枠は年40万円。42年まで制度が続く。対象の投信は初心者向けのものが多い。NISAとつみたてNISAは、どちらか1つを選んで利用する。「10年、20年かけて老後資金をじっくり作るならつみたてNISA。短期・中期で運用益を上げて、資産形成を早めたいというならNISA。どちらもiDeCoは併せて使うべき」と、ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏は言う。

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