長期投資に向く投資信託のベストを発掘する「日経トレンディ投信大賞」。ハイリスクハイリターンのジャンルでは、直近1年で80%を超えるリターンをたたき出した「厳選ジャパン」を大賞に選んだ。さらに、個人投資家との対話を重視したり、波乱相場での“保険”になったりする一芸投信にも注目した。

※日経トレンディ2021年2月号の記事を再構成

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投信大賞選出方法
投信大賞選出方法
4人の投信のプロ(QUICK専務執行役員・リサーチ本部主幹の北澤千秋氏、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏、イデア・ファンド・コンサルティング代表の吉井崇裕氏、ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)にリスク・リターンのジャンル別にお薦め投信を挙げてもらい、それぞれに加点。1年・5年・10年平均リターンや、2020年の最大下落率、純資産総額の規模でも加点し、最も得点の高いものを大賞に選出した。データはすべてQUICK調べで、20年11月末時点のもの

「ハイリスクハイリターン」の大賞・優秀賞は

 「ハイリスクハイリターン」のジャンルには、グロース株や新興国株を主な投資対象とする投信が多い。これらの株式は値動きが大きく、個人で売買するのは難度が高い。ただし高いリターンを狙えるため、運用をプロに任せられる投信で購入するというのは有効な手段だ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は「現金や金などの安全資産を保有し、資産全体でしっかりリスク管理ができていれば、投信はハイリスクハイリターンだけでもいい」と語る。

 このジャンルでは、1年のリターンが80%超と驚異的な記録をたたき出した「厳選ジャパン」が大賞を獲得した。プロ2人から高成長期待の投信として支持を得た。設定から3年ほどと運用期間が短く、グロース株中心の投信のため、相場の流れが一変したときにどうなるかはまだ未知数の部分があるが、その資産成長ぶりは目覚ましい。この勢いに乗るというのも一つの手だ。

高い利益成長が期待できる20銘柄程度に厳選投資。経営者の質やビジョン、新しいビジネスモデルであるかどうかなど、徹底した企業調査を行い銘柄を絞り込む。切り口の一つには「社会課題の解決」を掲げ、今回のコロナ禍の相場ではそれが奏功した
高い利益成長が期待できる20銘柄程度に厳選投資。経営者の質やビジョン、新しいビジネスモデルであるかどうかなど、徹底した企業調査を行い銘柄を絞り込む。切り口の一つには「社会課題の解決」を掲げ、今回のコロナ禍の相場ではそれが奏功した

 好成績を長期にわたって出し続けている投信も見逃せない。優秀賞の「大和住銀DC海外株式アクティブファンド」や「JPMアジア株・アクティブ・オープン」は、どちらも10年平均リターンが10%超え。前者は世界各国の、後者はアジア地域の株式に幅広く分散投資する投信だ。今後、世界経済のけん引役となりそうなのは米国と中国だが、一極集中を避けるためにはこれらの投信を活用するといいだろう。国内株式で運用する投信では、「MHAM新興成長株オープン」も実力派として注目される。

米国の大手運用会社ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクの運用ノウハウを活用。個別企業の経営戦略、業績予想などの分析を考慮しつつ、地域別・セクター別という2つの視点から銘柄を決定し、海外株式に幅広く分散投資する
米国の大手運用会社ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクの運用ノウハウを活用。個別企業の経営戦略、業績予想などの分析を考慮しつつ、地域別・セクター別という2つの視点から銘柄を決定し、海外株式に幅広く分散投資する
日本を除くアジア各国の株式を主な投資対象にする。アジア地域における豊富な企業取材を基に銘柄を選択。成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資する。運用期間は20年超と長く、安定した成績を残し続けている
日本を除くアジア各国の株式を主な投資対象にする。アジア地域における豊富な企業取材を基に銘柄を選択。成長性があり、かつ株価が割安と判断される銘柄を中心に投資する。運用期間は20年超と長く、安定した成績を残し続けている
高成長が期待できる国内の新興企業の株式を中心に投資を行う。取得時に創業25年以下、または上場後10年以下であることを目安に調査対象銘柄を絞り込み、詳細な産業・個別企業調査を実施。最終的には70〜120銘柄程度を選定する
高成長が期待できる国内の新興企業の株式を中心に投資を行う。取得時に創業25年以下、または上場後10年以下であることを目安に調査対象銘柄を絞り込み、詳細な産業・個別企業調査を実施。最終的には70〜120銘柄程度を選定する

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