2021年は、世界中を巡る運用マネーが日本に集まってくる——。そう語るのが、投資・金融知識などを教える複眼経済塾の塾長・渡部清二氏だ。新型コロナの動向に加えて、内閣府が毎月発表する「景気動向指数」を読み解くことが成功のカギになるという。爆発的に値上がりする銘柄には見分け方があり、そのエッセンスを公開する。

※日経トレンディ2021年2月号の記事を再構成

前回(第11回)はこちら

複眼経済塾 代表取締役塾長 渡部清二氏
大手証券会社勤務の後、2016年に複眼経済観測所を設立。18年に複眼経済塾に社名を変更し、現職。近著に『ウィズコロナ 日本株にビッグウェーブがやって来る!』(かや書房)

 不透明な2021年の株式市場で、どう動くべきか。投資・金融知識などを教える複眼経済塾の塾長・渡部清二氏に今後の投資法について聞いた。

——20年のコロナ禍における株式相場から、我々は何を学ぶべきですか。

 私が主宰している複眼経済塾では、20年3月に株価が急落した段階で「大底宣言」をしました。1929年の世界大恐慌と同じパターンの調整だろうと想定し、その後実際に株価は上昇しました。まず大事なのはこの構造を理解すること。一般の人々が「景気が悪い」と言っているリアルな社会とマネーマーケットは別の法則で動くことがあります。まずは実体経済と株価は異なる、という構図を理解しておく必要があるのです。

——21年の相場については、どのような見方でしょうか。

 世界中を巡る運用マネーが日本に集まってくる、というのが我々の考えです。これまでは米国に流れていましたが、選挙で国が分断された米国は、コロナの状況も予断を許さず崩壊の危機にあります。一方の日本はコロナでの打撃が深刻化する手前で押しとどめているのに加えて、財務体質が他国の企業に比べて良い割安な銘柄が多い。

 実際に20年8月には、著名投資家ウォーレン・バフェット氏による日本の商社への60億ドル(約6350億円)規模の投資が話題を集めました。10月以降は、外国人投資家が日本企業の株を集中的に買い、日経平均株価は12月に2万7000円台まで上がりました。日本のマーケットの注目度はさらに高まるでしょう。

——個人が景気、マーケットの将来を見通すにはどうすればいいでしょうか。

 新型コロナの動向に加えて、GDPの上昇率、内閣府が毎月発表している「景気動向指数」を見るとよいでしょう。生産や雇用など経済と景気に敏感に反応する30項目の指標を基に内閣府の専門会議で決定されるものです。もう少し踏み込むなら、元の30項目のデータをさらに細かく見る方法もあります。

 ただし、データは将来の景気を示す「先行指数」、現状を反映する「一致指数」、景気の実態を明確に示す「遅行指数」の3つに分かれるので、その違いを把握しておきましょう。特に重視すべきは先行指数です。例えば、「新規求人数」は企業の今後の活力を図る指標となり、景気に先行して動きます。国内の株式相場全体の動きを示す「TOPIX(東証株価指数)」も、先行指数の一つとなります。

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