フィスコのアナリストである馬渕磨理子氏に、2021年に狙いたい投資テーマと個別株を聞いた。21年の相場は強い銘柄と厳しい銘柄の二極化が進み、リスクに耐えられる銘柄を業績重視で選ぶことが鉄則になるという。「働き方改革」や「DX」などの注目テーマに沿った、厳選9銘柄を押さえておきたい。
※日経トレンディ2021年2月号の記事を再構成
金融情報を配信するフィスコのシンクタンクである「フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議」で研究員を務める認定テクニカルアナリストの馬渕氏に、21年に狙うべき投資テーマと、注目の個別株を聞いた。
――20年は新型コロナウイルスの影響で株式相場が春先に急落しましたが、その後に大きく反発しました。この傾向は21年も続きそうですか。
20年の世界経済は、コロナ禍によってリーマン・ショック以来の危機に陥りました。しかし、9月以降、菅政権が打ち出す抜本的改革を背景に、日本経済には回復の期待が膨らんでいます。この傾向は21年も変わらず、経済がさらに上向く状況が整うとの見立てです。
ただし、株価を回復した銘柄がある一方で、まだまだ戻り切っていない銘柄もたくさんあることは見逃せない事実です。このような銘柄間の格差は、今後さらに加速することが予想され、強い銘柄の株価は上がり続け、厳しい銘柄はさらに落ちていく、というような二極化が進みます。アルファベットの「K字形」を描くような相場が、しばらく続いていくのではないでしょうか。
21年は経済が回復していく中で、マネーの大きなうねりが起こるでしょう。うねりに淘汰され落ちていく企業があれば、そのうねりをバネに上がっていく企業も出てきます。こうした経済の激動期に、個人投資家がうねりに飲み込まれないために取るべき姿勢は、“期待”ではなく“実態=リアル”に目を向けることです。
例えば、ウィズコロナ関連銘柄の中には、ワクチンへの期待から、業績が伴っていないにもかかわらず株価が大幅に上昇した銘柄も出てきています。しかし、これらの銘柄の多くは、ワクチンに関するネガティブなニュースが報じられた途端に、ガクンと急落することが予想されます。期待を過度に織り込んだ銘柄は、相応のリスクを伴うのです。
一方で、コロナ回復期の混沌とした相場の中でも、好業績企業の株価水準は着実に上昇しています。期待ではなく、こうした業績の実態に目を向けられるリアリストになることこそが、激動期である21年を勝ち抜くための大きな鍵になります。
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