
コロナ禍を逆手に取り、新たな市場を開拓しようとする企業が登場している。富士ゼロックスはテレワークに対応した小型のワークスペース用ブース「CocoDesk(ココデスク)」事業を開始。アース製薬はウイルス・菌に対して特化した「アレルブロック ウイルス・菌 クリア」シリーズを新たに展開した。
個人用シェアオフィス事業に参入、テレワーク市場で存在感
複合機などを中核とする富士ゼロックスが、小型のワークスペース用ブースといえる「CocoDesk(ココデスク)」を開発。2020年2月から個人用シェアオフィス事業に乗り出している。駅の構内やオフィスビルのロビー、ショッピングセンターといった一般施設内の空きスペースに設置。ビジネスパーソンが外出や移動中の空いた時間に使える。ブースの内部は幅1.43×奥行き0.94×高さ2.1メートルと、利用者が1人で作業するには十分な広さだろう。足元にはキャリーバッグも置けるようにしたという。大型モニターやWi-Fiを装備するほか、内装の表面には吸音材を施して壁の内部には遮音性の高いグラスウールを使用。室内の話し声が漏れにくく、外からの音はできる限りカットする。
利用者は専用サイトにログイン後、利用したいCocoDeskの場所と時間を選び、15分単位で予約。時間になると専用サイトに「解錠キー」が表示され、ブースに入室できるようになる。個人や法人として契約し、15分当たり料金は250円(税別)。法人の場合は別に月額基本料がかかる場合がある。
新型コロナウイルス感染症への対策も重視。例えば内部の空気は常に自動換気の機能が働き、利用時間の前後15分間は予約できない仕掛けにして換気の時間を取っている。内部は抗菌剤もコーティングした。また、ウシオ電機が開発したウイルス抑制・除菌用の紫外線照射装置を20年12月から一部のブースに設置しており、今後は順次拡大する。3密(密閉・密集・密接)を避け、安全で快適にテレワークができそうだ。
富士ゼロックスは以前から新しい働き方を研究。東京地下鉄(東京メトロ)と組んで18年に同様のブースをいち早く設置し、実証実験をしていた。
「利用者から高評価を得たため、ブースを改良して今回の事業開始に臨んだ。コロナ禍のテレワーク需要に加え、施設内の空いたスペースを活用したいというニーズもつかみ、設置台数が増加している。21年1月時点で47台を設置し、3月末には63台に増える見込み」(ビジネスプラットフォーム事業推進グループ長の丹野泰太郎氏)
設置場所に応じた2種類の色を用意
同様のブースは他社からも登場しているが、CocoDeskの違いはデザイン性にも徹底的にこだわった点だ。富士ゼロックスのデザイン部門が企画段階から開発に参加し、さまざまな素材を使ってプロトタイプを作ったり、イメージスケッチから外観の色についてヒアリングしたりして完成にこぎつけた。
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