コロナ禍に勝つブランディング

資生堂が発売した日中用色つき美容液「マキアージュ ドラマティック ヌードジェリー BB」は、マスクが不可欠になったニューノーマル(新常態)に対応し、「メークがマスクに付きにくい」と「つや肌効果」を両立。わずか4カ月という超スピード開発で、withコロナの生活者ニーズを捉え、ブランドイメージを向上させている。

前回(第5回)はこちら

森星をキービジュアルに起用して発売した日中用色つき美容液「マキアージュ ドラマティック ヌードジェリー BB」。日中用美容液として毛穴や色ムラをカバーしながら、まるでスキンケア直後のような、うるおいと透明感のある肌をかなえる、というコンセプトを伝える。最大のフックとなるのはマスクへの色移りをガードする効果も備えること。1本2800 円(税別)。内容量は30グラムでSPF50+・PA+++と紫外線から肌を守る効果もある(画像は資生堂公式ホームページより)
森星をキービジュアルに起用して発売した日中用色つき美容液「マキアージュ ドラマティック ヌードジェリー BB」。日中用美容液として毛穴や色ムラをカバーしながら、まるでスキンケア直後のような、うるおいと透明感のある肌をかなえる、というコンセプトを伝える。最大のフックとなるのはマスクへの色移りをガードする効果も備えること。1本2800 円(税別)。内容量は30グラムでSPF50+・PA+++と紫外線から肌を守る効果もある(画像は資生堂公式ホームページより)

マスク生活で生まれた新ニーズに対応

 陶器のような「マット肌」と、うるおいを感じる「つや肌」。生活者によって好みは分かれるものの、2010年代後半からつや肌を求めるトレンドが続いており、コロナ禍でもその勢いは衰えない。一般的につやのある肌に見せるには、下地やファンデーション、ハイライトを駆使したベースメークの段階で塗り重ねる必要がある。同時にメークの層が厚くなるとべたつきが生まれやすいので、マスク装着時にはメークが付いてしまう。平時にはなかった新たな課題が生まれた。

 資生堂がトータルメーキャップブランドの「マキアージュ」から20年11月21日に発売したヌードジェリー BBの特徴は、同社が世界初としている成分アプローチにある。通常、マスクへの付きにくさと、つや肌効果の両立は技術上困難だが、この新技術を採用したヌードジェリー BBは、マスクへのメーク付着を緩和しながら、毛穴や色ムラをカバーしてスキンケア直後のようにつややかな肌の演出を楽しめるという。

世界初となる新技術の開発に成功し、マスクに二次付着しにくい日中用美容液が生まれた(写真提供/資生堂)
世界初となる新技術の開発に成功し、マスクに二次付着しにくい日中用美容液が生まれた(写真提供/資生堂)

 発売後、売れ行きは好調だ。コスメティックや美容に関する国内最大規模の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」では、21年2月4日時点で「BBクリーム」ジャンルでのクチコミランキング1位を維持している。

コロナ禍に対応し「マキアージュチーム」結成

見る人にヌーディーな印象を与えながら、明るい素肌をも感じさせるカラーをダイレクトに演出したパッケージデザイン。商品の中身とパッケージデザインの開発を同時進行したほど急ピッチな開発現場だったという(写真提供/資生堂)
見る人にヌーディーな印象を与えながら、明るい素肌をも感じさせるカラーをダイレクトに演出したパッケージデザイン。商品の中身とパッケージデザインの開発を同時進行したほど急ピッチな開発現場だったという(写真提供/資生堂)

 20年春、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃から、生活者の新たなニーズに沿った商品開発の必要性について、社内でも認識が広がっていた。そこで、資生堂は社内で各部署から人員を集めて「マキアージュチーム」を結成、新商品のマーケティングのコンセプトの策定に急ぎ取り組んだ。

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