
コロナ禍の中、リモートワークに対応した国産ツールが次々と発進した。デザイン会社のグッドパッチはホワイトボードを模した「Strap(ストラップ)」を、スタートアップのnoco(東京・墨田)はコラボレーションツール「toaster team(トースターチーム)」を、それぞれ2020年に公開した。共通点はチーム内で情報を出し合えるフィールドがあること。1+1が3以上になる、思わぬアイデアに化ける可能性がある。
“伸縮自在”の無限に広がるホワイトボードに付箋を貼り、文字や図を書き連ねていく。リモートでブレスト(ブレインストーミング)し、アイデアを生み出すには、複数人で共同編集できるこうしたオンラインホワイトボードツールが欠かせない。
「面白法人」を名乗るカヤックが使っていたのは、米国生まれのmiro(ミロ)だった(関連記事「カヤック流ブレスト術『リモートでも無限にアイデアを生む』方法」)が、ついに和製のサービスも登場した。デザイン会社グッドパッチが開発し、2020年9月1日に正式リリースした「Strap」である。
【第2回】 カヤック流ブレスト術「リモートでも無限にアイデアを生む」方法
【第3回】 オフィス強制閉鎖でも共創が加速 Slackの「雑談を生む」仕掛け
【第4回】 国産ホワイトボードツールに問い合わせ殺到 コロナ禍の新会議術 ←今回はココ
デザインの設計や、プロジェクト管理、事業の立ち上げに役立つテンプレートがあらかじめ用意されており、ワンクリックですぐに使える。付箋は6色あり、ボードをクリックしただけでペタッと貼りつくなど、直感的な操作で動くのが特徴だ。

例えば、プロジェクトの振り返りには「KPT」というテンプレートを使う。Keep(キープ=継続したいこと)、Problem(プロブレム=改善すべきこと)、Try(トライ=新たに挑戦すること)を書き出し、次にやるべきことを明確化するのだ。
サービスをつくる際は、想定するユーザー像を「ペルソナ」で作成し、ユーザーの行動や感情の変化を「カスタマージャーニーマップ」で時系列にまとめる。相手が初対面のときは「自己紹介」を活用し、チームのメンバーに感謝の気持ちを伝えたいときは「Good & More」を使えばよい。
Strapにはこうしたテンプレートが22個用意されている。実は、どれもグッドパッチの社内で使い込んできた代物だ。「社内にたまったナレッジ(知識)を還元し、我々のプロセスの型を再現できるツールにしたい」と意欲を語るのは、Strap事業責任者の北村篤志氏である。
正式版へ100回以上のアップデート
開発を始めたのは、19年の初頭。1年以上の積み上げを経て、β版を出したのは20年4月23日だった。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令されて2週間余り。多くの企業が手探りでリモートワークを始めたばかりとあって、開始早々、問い合わせが殺到した。その数、約1800件。「特にオンラインホワイトボードとしての需要が大きく、我々自身が『どうしよう』とびっくりするほどの反響だった」(北村氏)。
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